S&P500構成銘柄ランキングとは?定義や変遷から上位5社まで詳しく説明!

目次

S&P500とは?

米国経済や投資ニュースなどでよく耳にするS&P500は、アメリカの主要な株価指数の一つであり、最も広く利用されている指数の一つです。

この指数は、アメリカの上場企業500社の株価の動きを総合的に示しており、アメリカ株式市場全体の動向を把握するための重要な指標であることから投資家にとっても注目度が高いです。

今回の記事ではS&P500の定義とその重要性、及び選考基準について説明したのち個別銘柄のランキングや投資戦略についてお伝えいたします。

S&P500の定義とその重要性

S&P500は、正式にはスタンダード・アンド・プアーズ500種指数(Standard & Poor’s 5– Stpck Index)といい、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供しているアメリカの主要な株価指数の一つです。

ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業から市場規模・流動性・業種などを考慮して代表的な500社を選定し、その株価を加重平均して算出しています。

S&P500は前身となる企業の時代を含めると1957年から算出される歴史ある指標ではあるものの、構成銘柄は定期的に見直され、時代にあった代表的な企業が選ばれています。

S&P500を構成する企業は米国株式市場全体の時価総額に対して約80%を占めることから、その動きは世界最大の市場である、米国市場全体の傾向をよく反映しているといえます。

このことからS&P500は世界中の投資家が経済状況を判断する重要な指標となっています。

S&P500に含まれる企業の選考基準

S&P500に含まれる企業は、以下のような基準で選ばれています。

  1. 時価総額が61億ドル(約8700万円:2023年7月8日現在)以上であること
  2. 評価日までの各半期における売買高が最低25万株あり、流動性が確保されていること
  3. 米国に本拠地を置く企業であること
  4. 最低50%が浮動株であること
  5. セクター(業種)間のバランスが維持されていること
  6. 直近の四半期及び直近の連続4四半期が黒字であること
  7. 最低でも上場から12ヶ月後になっていること

S&P500については上記のような厳格な選考基準を持って銘柄が選ばれています。

時価総額以外にも業績が安定していることや幅広い業種を選んでいることもルール化されており、成長性と安定性を両立できることが投資家からみたS&P500の魅力になっています。

S&P500銘柄ランキングの理解

S&P500に選定されている企業は米国の代表的な企業でもありますが、それでも500社近くあると個別の銘柄を選ぶのは大変です。

そこで役に立つのが時価総額や業績を基準に選ぶ銘柄ランキングです。

以下にS&P銘柄ランキングの内容とそれに基づく投資判断への影響について、詳細にお伝えいたします。

ランキングの基準:時価総額と業績

S&P500の銘柄についてランキングを作成するのに必要なものは時価総額と業績です。

企業の株式の市場価値である時価総額については、前述通り 61億ドル(約8700万円:2023年7月8日現在)以上でないとS&P500には選定されない、という基準がありますが、直速額が高い企業の株価ほどS&P500の数値により反映されるようになっているため、個別の企業の時価総額を考えることも重要です。

時価総額は一般的に成長性が高い企業ほど高くなる傾向にあるため、高い企業ほど将来の業績拡大に期待が持てると言えるでしょう。

また業績も、直近の四半期及び直近の連続4四半期が黒字、という基準があるため現時点での企業の実力も大きく反映されています。これも業績がいい企業ほど利益率が高く、競争力が高いといえます。

新興企業を中心に時価総額は高いものの現時点での収益率は低いということも十分にありうるため、S&P500を考える際にはこちらにも考慮する必要があります。

ランキングが投資判断に与える影響

S&P500の銘柄ランキングは、現時点の米国株式市場において時価総額が高い企業はどれか、業績が安定する企業はどれか、といった基準がわかるため、投資した個別銘柄を選ぶ際の参考になります。

個別銘柄選びの参考になる指標としてはダウ・ジョーンズ工業株価平均やNASDAQ100など別の指標もありますが、S&P500の銘柄ランキングをみる場合はITやバイオ、電気自動車などの成長性あるセクターから消費財や銀行などの伝統セクター、創業から何十年と経った大企業からベンチャー企業まで幅広い業種・企業をみられるため、個別銘柄選びの際には大きな影響を与えます。

また上位の企業は業界のリーダーであることも多いため、投資家からの信頼度も高いです。

ゆえにS&P500の構成銘柄の変化は、変動のあった企業の市場の業績や成長性の変化をも表、投資戦略に影響を与えると言われます。

S&P500のトップランキング銘柄

それでは2023年7月8日現在における、S&P500の銘柄ランキング(構成上位順位)トップ5社を紹介します。

上位5社はITや電気自動車関連といった、成長産業が並ぶ結果になっています。特にChatGPTをはじめとする生成AIのブームで、2位のマイクロソフトと4位のエヌピディアの注目度は高いです。

以下にそれぞれの企業について、詳しく述べます。

Top1:アップル(AAPL)

アップルはスマートフォン市場で世界最大級のシェアを持つiPhoneをはじめ、タブレットのiPad、iMacやMacobookなどの高級PCなどデザインセンスに優れた多くのガジェットで知られる企業です。

近年でも、XRの「Vision Pro」への参入や電気自動車への新規参入計画など、革新的な取り組みが続けられています。

スマートフォンの部品やアプリ開発など、関係する市場も多いことから同社の発表は多くの市場関係者から注目を集めています。

そのため、アップル(AAPL)の時価総額は2023年7月8日現在で約3兆169万ドル(約426兆円)と全米で最も高額で、S&P500を算出する加重平均のなかで最も重みづけられる銘柄にもなっています。

Top2:マイクロソフト(MSFT)

パソコンで最大シェアを持つOSのWindowsやワードやエクセル、パワーポイントなどのOfficeソフトウェア、XboxやMinecraftなどのゲームで広く知られている非常に知名度の高い企業です。

2000年代から2010年代にかけてはスマートフォン市場やインターネットブラウザで主導権を握れず一時低迷していましたが、文章生成AIサービスのchatGPTとの提携をいち早く発表するなどAIへの取り組みに注力していることから、ここ最近になり再び将来性を高くみる投資家が増えています。

時価総額は2023年7月8日現在で約2兆5375万ドル(約284兆円)と、これより上にはアップル以外にないというところまで伸びています。

マイクロソフト(MSFT)は一度低迷した企業でも革新的な取り組みがあれば再び市場からの評価が上がることがある、という意味で注目される銘柄ではないかと思います。

Top3:アマゾン・ドット・コム(AMZN)

世界最大のオンラインショッピングモール「アマゾン・ドット・コム」で有名な企業です。

オンラインショッピングモールの運営に必要なインフラを活かした定額制クラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」も、機能の多様さからウェブ開発者の間で人気を集めています。

オンラインショッピングモールは配送や倉庫などに莫大な運用費がかかり収益性が低くなりがちですが、アマゾン・ドット・コム(AMZN)はAWSをはじめ、Prime会員費など定期的に入ってくる収入も存在するために高い収益性を誇っており、S&P500の構成銘柄の中でも時価総額3位となる約1兆3170億ドル(約187兆円、2023年7月8日現在)を記録しています。

アマゾン・ドット・コム(AMZN)の上場は1997年と次第に老舗になりつつある企業ではあるものの、ドローン配送など先進的な取り組みも多く、将来性も期待されています。

Top4:エヌピディア(NVDA)

エヌピディア(NVDA)はゲーム機や映像処理を行うパソコンなどに搭載されるリアルタイム画像処理に特化した演算装置であるGPU(Graphic Processing Unit)で最大手となっている企業です。

近年ではchatGPTの基盤モデルとなっている「GPT-3」で同社のGPUが1万枚以上用いられるなど、AIの開発に用いられるケースが増えています。

日本でもさくらインターネットが135億円でエヌピディア(NVDA)のGPUを導入する際に経済産業省が半額を補助するなど、政府が考える戦略物資としての需要も発生しています。

2023年になり生成AIが注目を集める中、時価総額は約1兆399億ドル(約147兆円、2023年7月8日)となり全米4位にまでになっています。

Top5:テスラ(TSLA)

高級感のある電気自動車で人気を集めているテスラ(TSLA)も、各国政府による二酸化炭素排出削減策やガソリン車禁止策などによる成長性の高さから、注目を集めている企業です。

世界屈指の資産を持つイーロン・マスク氏の強力なリーダーシップの元、巨大生産工場ギガファクトリーによる大量生産など電気自動車を普及させることによるビジネス拡大に熱心な企業でもあります。

直近では同社が手がける充電規格NACSがアメリカの標準規格となるなど、充電インフラにおいても力を持ちつつあります。

これらの積極的な投資により、近年時価総額は約8764億ドル(約124兆円、2023年7月8日)まで伸びています。

S&P500銘柄ランキングの動向

S&P500は60年以上もの歴史ある指標であるため、構成銘柄や構成比率については時代の変遷とともに移り変わっています。

過去のランキング変動を分析すると米国市場の時代ごとのトレンドが影響していること、企業の業績動向がランキングに大きく影響していることがわかり、投資判断に役立つ情報を得ることができます。

以下にランキングの変動とその要因、ランキング企業の業績動向との相関関係についてお伝えします。

過去のランキング変動とその要因の分析

S&P500の銘柄ランキングは、時価総額、業績、経済の好況や業績の向上など、さまざまな要因の影響を受けます。

特に時価総額は大きな影響を与えており、ここ最近でみると前述したエヌピディア(NVDA)やテスラ(TSLA)など、生成AIや電気自動車といった2020年代に成長性ある分野で影響力を持つ企業が時価総額上位にランクインするようになり、ランキングでも上位に入っています。

一方業績が悪化したり、所属する業界が縮小している企業がS&P500の銘柄ランキングから外れるケースも目立っています。

それは米国の名門企業も例外ではなく、ここ数年を見ても、大手百貨店のメイシーズ(2020年6月除外、M)やコピー機のゼロックス(2021年、XRX)など、S&P500の構成銘柄から外れています。

またS&P500は米国に本拠を置く上場企業以外は選定されないため、合併・買収により上場廃止になったことで外れた例や他国の企業の傘下になったために銘柄ランキングから外れたこともあります。

近年だとフランス・LVMHの傘下になったティファニー(TIF、2021年1月除外)、イーロン・マスクに買収されたツイッター(TWTR、2022年11月除外)などの例があります。

企業の業績動向とランキングの相関

S&P500の銘柄ランキングと企業の業績には強い相関関係があります。

例としてフォーチュン・グローバル500の2022年版のリストのなかで純利益の高い企業をみると、前述したS&P500の銘柄ランキングで1位となっているアップル(AAPL)は2位と、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコの次にランクインしています。

このランキングを見ると、マイクロソフト(MSFT)は5位、アマゾン(AMZN)は14位とS&P500の銘柄ランキング上位3位の企業はいずれも純利益の高い企業の中にも入っています。

企業株式は将来性も含めて投資を行うため業績だけで投資を行うわけではないですが、S&P500の銘柄ランキング上位に掲載される企業の多くは高い収益性を誇る企業でもあります。

個別の銘柄で探す場合は利益額や利益率についてもよく調べて投資をするようにしてください。

参考記事 https://asian-links.com/ja/rieki-kigyou-top

S&P500ランキング銘柄を含む投資戦略

S&P500のランキング銘柄を活用した投資戦略としては、インデックス投資で行う方法と指定されている銘柄に個別で投資する2つの方法があります。以下にそれぞれのメリット・デメリット、投資において重要になるポートフォリオのバランスとリスク管理についてご紹介いたします。

インデックス投資の概要

インデックス投資は特定の指数に連動する投資手法で、株式市場に上場するETFやそれに基づく投資信託の形で行われます。

米国株式市場の代表的指数であるS&P500はインデックス投資でよく使われる指数でもあり、多くの人気商品が存在します。

ETFだと「バンガード S&P 500 ETF(VOO)」、投資信託だと「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「iFree S&P500インデックス」などが有名です。

これらの商材は、幅広い銘柄に分散して投資するためリスク分散効果が高いことや、運営に手間がかからないため手数料が低いことから、投資に対して不安のある初心者にもおすすめの商材です。

ただS&P500の銘柄ランキング上位にある個別の銘柄に直接投資するよりは投資から得られる収益性が低くなりがちなので、インデックス投資は短期というよりは数年単位の長期保有に向く商材になっています。

ランキングを考慮した投資の考え方

S&P500を考慮した投資戦略においてより積極的に投資収益を上げたい場合は、インデックス投資のほか、S&P500を構成する銘柄ランキングを見て成長性と収益性の高い企業を見つけて投資していくという考えがあります。

株価が低迷している企業や業界の影響を受けずに確実に有力な企業を探すことができるため、短期間の売買で収益を出したい場合に向く手法です。

ただS&P500の銘柄ランキングの上位に来る企業は、注目度の高いIT企業などに偏ることも多く、S&P500の特徴の一つであるバランスの良さを活かしにくいという問題点もあります。

そのため、後述する適切なポートフォリオのバランスやリスク管理が重要になります。

ポートフォリオのバランスとリスク管理

S&P500のランキング銘柄を中心にポートフォリオを構築する際には、複数の銘柄や異なるセクターにバランスよく分散投資することによるリスク管理に注意が必要です。

特に時価総額をベースにしたランキングに従うと上位はどうしても急成長を見せるIT関連、その中でも人工知能関連に強い企業によりがちになります。

そのためランキング上位にあるIT関連株を購入した際には、金融業のバンク・オブ・アメリカ(BAC)や製薬業のジョンソンエンドジョンソン(JNJ)など古くからある業界の株式も同時に購入するなどバランスを保った上で投資することを推奨します。

またS&P500に選ばれた企業の業績は比較的安定しているとはいえ、株式である以上値動きはあります。そのため、市況や投資先の業績などをみて、ご自身のポートフォリオは定期的なリバランスを行うことをおすすめします。

まとめ:S&P500は米国株投資を始めたい人なら知っておきたい指数

いかがでしたでしょうか。

S&P500は米国市場の主要企業の動きが強く反映され、同国の株式市場全体の動向を探るのに適した指標であるため、米国株をはじめたい人はランキングの仕組みや変動の傾向から知識として身につけたい指数です。

また銘柄選びに時間がかけられない人でも、人気あるインデックス投資商品の一つであるため抑えたほうがいい指数となります。

S&P500は投資を始めたい初心者から銘柄を深く探りたい上級者まで、米国株式に注目する人であれば常に目を光らせておくべき指数と言えるでしょう。

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