ウクライナ情勢の影響で米国株はどうなる?下落相場で個人投資家がなすべきこととは

2022年から米国株の先行きが不透明になっていますが、その要因の1つとなっているのがウクライナ情勢です。6月が終わっても現地では激しい戦闘が続いており、終戦への道筋はいまだ見えていない状況です。

米国株の投資を始めたばかりで、今後の相場はどうなってしまうのかと心配している方もいるのではないでしょうか。そこで今回はウクライナ情勢が米国株に下落トレンドをもたらしていること、米国株が今後どうなるのか、投資家が心がけるべきことについて解説します。

※本記事は投資関連の情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではありません。また将来の値動きについて確約するものでもありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断で行っていただきますようお願いします。

目次

ウクライナで起きている戦争が株価の下落につながる理由

そもそもウクライナ危機がなぜ米国株の下落につながるのか、その理由について見ていきましょう。

政治・経済的な混乱をもたらした

2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まりました。軍事侵攻はないとの多くの専門家の予測を裏切る結果となり、世界の株式市場が大きな影響を受けました。

ロシアへの経済制裁、ウクライナからの輸出停止、石油や天然ガスなどの供給の不透明化など、政治・経済的な混乱をもたらしました。米国株だけでなく日本株も下落傾向となり、6月が終わる現在でも市場の不透明感は消えていません。

株式以外に投資資金が流れる

戦争が起きると、高いリスクを避けようとする投資家が続出します。高リスクの株式から、債券や金(ゴールド)に買いが集まるようになり、株式が売られやすくなることで株価が下落します。

ロシアへの経済制裁

先進国を中心に、多くの国が経済制裁を行っています。国際的な銀行決済からの締め出し、ロシアからの事業の撤退、国外資産の凍結など、ロシア経済への負の影響は今後大きくなっていくと予測されます。

経済制裁は軍事侵攻がストップしない限り続くと思われますが、長期化すると世界的な経済情勢が不安定になるかもしれません。

燃料価格の高騰

西側諸国の経済制裁により、ロシア産の原油や天然ガスの生産が減少し、エネルギー供給の不安定化につながりました。その結果、米国でも燃料価格が高騰しています。

燃料価格の高騰はエネルギー会社にとっては株価急上昇につながりますが、その他の産業にはマイナスの影響を与えがちです。石油は様々な産業で欠かせないものであり、価格の高騰は売上・利益を圧迫します。

米国株の下落理由はウクライナ情勢以外にもある

今回の米国株の下落は、ウクライナ情勢の他にも下記のような要因があります。

FRBの金利引き上げ

米国では景気が過熱気味だった昨年から、FRBによる金利の引き上げがトピックとなっていました。2022年6月の会合では政策金利を0.75ポイント引き上げ、1.5~1.75%にすることが決定しました。

金利が引き上げられると、企業の借入負担が増し、設備投資を控えるようになります。個人にとっても資金を貯蓄に回すモチベーションが高まります。よって景気の過熱を抑え、株価の下落につながるということです。

FRBのジェローム・パウエル議長は、次回の会合でも0.5ポイントまたは0.75ポイントの引き上げを行う可能性が高いと述べました。2022年末までに、政策金利が3.4%にまで到達する可能性もあるとみられています。

急速なインフレ

FRBが複数回に渡る利上げを行うのは、猛烈な勢いのインフレを食い止めるためです。CPI(消費者物価指数)は2022年5月に予想外の上昇を見せ、インフレの懸念は高まるばかりです。

米国のCPIは5月までの12ヵ月で8.6%上昇しましたが、欧州諸国や韓国といった他国でもインフレに見舞われています。

ロシアのウクライナ侵攻により農産物や燃料の流れが一部遮断され、エネルギーや食糧の価格が急騰したため、世界中でインフレが起きています。米国は2021年からすでにインフレの兆しがありましたが、ウクライナ危機でインフレに拍車がかかった状態です。

中国のロックダウン

中国ではゼロコロナ政策を維持しており、感染が急拡大した4月から5月にかけ上海などでロックダウンが行われました。その結果、工場などの稼働が停止し、世界のサプライチェーンに重大な影響をもたらしました。

感染者数が減ってきたことを受けて6月には規制緩和に踏み切りましたが、またしても感染者数が増加しつつあるとして、再び厳格なロックダウンの措置が講じられるのではないかという懸念も持たれています。

北京と上海では制限解除後からすぐにリバウンドが発生しており、ゼロコロナ政策の難しさが浮き彫りになっています。

ウクライナ情勢で暴落した米国株の投資、どうすべきか

米国株式は2021年時点より割安感が出てきているとの声も見られます。果たして今が米国株の買い時なのか、考えてみました。

下落トレンドからはまだ抜け出せていない

軍事侵攻から1ヵ月経過し、3月から4月にかけて、米国株式市場はいったん反発しました。停戦合意の可能性が見えてきたなどの理由で買い増しをした投資家も多かったようです。

しかし2022年5月から6月には再び大きな下落に見舞われ、S&P500やNASDAQ100は年初来安値を更新してしまいました。長期投資をしている方ならともかく、短期トレードをする方で「安易に買い増ししなければ良かった」と思っている方もいるかもしれません。

現在の時点が相場の「底」と言えるのかはまだ判断できない状況です。

ウクライナ情勢で下落した米国株の今後の見通しは?

投資家としては今後の見通しが気になるもの。大きく揺れた2022年上半期の米国株ですが、下半期はどうなるのか考察しました。

長期化する場合は下落圧力が強まる

ウクライナ・ロシアで停戦の合意に至る要素はいまだ見えていない状況です。ウクライナの東部と南部では依然として戦争が継続しており、ウクライナ軍・ロシア軍ともに退く姿勢はありません。

ロシアは石油や天然ガスなどの資源などを武器に、西側諸国にもウクライナへの支援を止めるよう圧力をかけています。しかし西側諸国も到底受け入れることはできず、ウクライナへの武器提供も続くため、紛争が長期化する可能性はあります。

その場合、エネルギーや穀物の需給はひっ迫し、価格高騰が世界景気にネガティブな影響をもたらすリスクがあります。長期化の見通しが強くなると、株価の下落圧力は強まるでしょう。

インフレがピークに達するまでは厳しいか

現在の株式市場のセンチメントは非常に悪く、悲観的なものが多く見られます。米国の急激なインフレも続いており、金利引き上げはまだ継続されるでしょう。ウクライナ情勢だけでなく、これらの問題もまだ解決の様相を見せていません。

本格的な買い時が訪れるとすれば、米国のインフレがピークに達したとの認識が広まることが必要でしょう。インフレ退治にはまだしばらく時間がかかり、少なくとも秋頃まで株式市場は厳しい状況が続くのではないでしょうか。

年後半に上昇に転じる可能性はある

現在は悲観的な声が多数である一方、米国株の季節性を見ると、年後半には上昇する傾向が見られます。S&P500の6ヵ月ごとのリターンとプラスになる確率について、1930年~2022年を調査したデータがあります。

これによると、7月以降から米国株を半年間保有すると、株価のリターンが徐々に増えているという結果になっています。特に2022年は前半に大きく下落した分、年後半で上昇に転じる可能性もあるでしょう。

エネルギーや公益事業など銘柄は上昇傾向が続く可能性がある

全体的に厳しい米国株市場において、上昇している数少ないセクターの1つがエネルギーです。ウクライナ情勢はまだ解決の見通しが立っておらず、OPEC諸国も大幅な石油増産には踏み切る様子がないため、エネルギー需要の高止まりはしばらく続くでしょう。

すでにエクソンモービルやシェブロンといった銘柄は高値を更新しましたが、今後もしばらくは高い水準で株価が推移することになると思われます。

エネルギーと同じく公益事業も上昇しているセクションです。ディフェンシブとされているセクターの1つで、収益基盤・業績が安定している銘柄が多く含まれています。脱炭素やグリーンシフトなどの世界的な潮流により、追い風が吹いているセクターでもあります。

ウクライナ危機による米国株下落に対して個人投資家がすべきこと

さまざまなリスク要因で先行きが不透明な展開になっている現在、個人投資家は何をすべきなのでしょうか。

積立投資はそのまま継続する

米国株の初心者の方で、ETF・投資信託で積立投資を行っている方も多いでしょう。一般NISAやつみたてNISAを利用すると、運用で得られた利益が非課税になるため、資産形成をしたい方にとって魅力的な金融制度です。

2022年に入ってからの米国株の下落を目の当たりにして恐怖を感じ、売ってしまいたい方もいるかもしれません。しかしここで思い出してほしいのは、いつまで積立をするつもりだったのかということです。多くの方は10年・20年といったスパンでの積立を行っているのではないでしょうか。

米国株市場は直近50年程度を見ても10年に1度くらいは大きなショックが発生しています。長期投資をする限り、相場の大幅な下落に遭遇するのは必然と言えるでしょう。

積立投資で一番重要なのは、相場がどのような値動きをしても淡々と継続することです。価格が下がったときは、少ない資金でたくさん買えると考えるぐらいでちょうど良いのではないでしょうか。

レバレッジ型のファンドの割合が多い人は縮小するのも有効

昨年あたりから、「レバナス」と呼ばれる投資信託が注目を集めていました。NASDAQ100の指数に連動する成果を目指し、さらに価格が2~3倍上下動する、レバレッジ型のファンドです。

NASDAQ100はもともとS&P500よりもボラティリティが高い指数ですが、レバナスはそれ以上の大きさで変動するため、うまくいくと爆発的な利益を得られます。

しかし下落のダメージも2~3倍になるため、2022年からレバナスは大きな下落に見舞われ、ピークから50%以上下落したファンドもあります。投資資金の大半を溶かしてしまい、大変なことになっている投資家もいるようです。

今後の相場の戻りに期待してレバナスをホールドし続けるのも1つの手ですが、懸念されるのはファンドの繰上償還です。繰上償還とは、投資信託の規模(純資産総額)が一定の水準を下回り、効率的な運用ができないと運用会社が判断した場合等に、当初設定していた償還期日よりも前に償還することです。

長期的な上昇を信じて保有しつづけても、繰上償還をされてしまうと暴落時の基準価額で強制決済され、大きな損失が確定してしまいます。償還される確率自体は低いものの、リスクはゼロではありません。

ポートフォリオにおいてレバナスの割合が大きかった方は、再考するのも良いのではないでしょうか。レバナスは基本的に短期投資向きの商品であり、長期投資には不向きです。長期投資を基本とするならレバナスの割合は5%以下に抑え、短期売買を意識するべきでしょう。

キャッシュポジションを増やす

下落トレンドが続く米国株は、いつ・どこが底になるのかは誰にも分かりません。後になってからチャートで明らかになることです。しかしいつかは底を迎え、買い時が訪れます。

投資家としてはその時に備えて、資金を準備しておきたいところ。難しい相場では大きな買付はいったんストップし、キャッシュを増やしておくのも1つの手です。

まとめ

ウクライナ危機が米国株式市場にもたらしている影響、今後の見通しなどについて解説しました。停戦合意への道筋はまだ見えず、戦争の長期化も懸念されています。

また軍事侵攻によって生じたエネルギー・食料の供給不安定化により、インフレにも拍車がかかっています。米国FRBはインフレ退治に注力するため、今後も金利を引き上げる可能性に言及しており、株価下落の大きな要因になります。

今後の見通しは非常に難しいですが、ウクライナ危機もインフレも解決の様相が見えてこないため、しばらく米国株市場は不安定な動きを続けるのではないかと思われます。しかしこれから状況が改善される可能性もありますし、年後半に米国の株価が上昇しやすいとのデータもあります。

不安定な相場を前に個人投資家としてできることとしては、積立投資はそのまま継続しつつも、大規模な新規の一括投資は控えるのが望ましいでしょう。レバナスなどボラティリティの高い商品のポートフォリオに占める割合については、再考の余地があるかもしれません。

どんな下げ相場も必ず終わりを迎え、買い時が訪れます。キャッシュポジションを増やし、その時をじっと伺うのも良いのではないでしょうか。

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