2022年の米国株式市場は軟調な展開が続いています。(10月末現在)リーマンショック以降、2010年のフラッシュクラッシュや2020年のコロナショックによる急な下げ局面はありました。しかし、米国株はFRBの大規模な金融緩和によって強い金融相場が2021年まで続いています。強い相場が長く米国では続いたため、日本の個人投資家の間でも米国株投資ブームが起きました。現在、米国株投資をしている個人投資家の中には上昇局面の金融相場しか経験したことがないという方も多いかもしれません。しかし、2022年の下げ相場で「米国株は暴落するのでは?」と心配する個人投資家の方もいるでしょう。
そこで本記事では、米国株暴落の「①歴史、②見通し、③対策」の3点をご紹介します。
米国株暴落の歴史
まず米国でかつて起きた暴落を3つ紹介します。
株式市場の暴落の歴史を知ることで「自分のポジションがリスクをとりすぎていないかどうか?」「暴落したらどの程度、下げる可能性があるのか?」などを確認してみましょう。
1929年:ウォール街大暴落

1929年、世界恐慌につながる株価の大暴落がありました。「ウォール街大暴落」と言います。
世界史の教科書にも登場する世界恐慌の引き金になった暴落です。
大暴落の前の10年間は米国の株式市場は好調で右肩あがりの上昇相場でした。しかし29年の10月28日と29日に2日連続で10%を超える下落。その後、反動の戻しはあったものの、1932年半ばまで厳しい下げ相場が続きました。最終的に1929年の高値から約90%もダウ指数は下げる厳しい市況。前回の高値まで戻ったのは1950年代半ばまで待たなければいけませんでした。
ウォール街大暴落の直接の原因・理由は特定できていません。
ただ、1920年代後半は大量生産・大量消費の時代で商品の供給過多、FRBの利上げ実行などの複合的な要因で
暴落を起こす下地は整っていました。暴落は突然、訪れて一度、大きな暴落が起きると元の高値に戻るまでに
何年もかかることがあるという教訓を残す暴落でした。
1987年:ブラックマンデー

1987年に起きたブラックマンデーも米国株の歴史に残る暴落でした。ブラックマンデーでは1日の取引で20%を超える下げになりました。原因はドル安に伴うインフレ懸念、プログラム売買による売りが売りを呼ぶ展開が
続いたことだと考えられています。ただし、ウォール街大暴落のときとは異なり、直近の高値回復までは3年ほどで回復しました。
2008年:リーマン・ショック

リーマン・ショックは2008年9月に米国を代表する投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻したのを機に起きた経済危機です。高値から約半値までダウ指数は下げてしまいました。しかし、米国のFRBは金融緩和をリーマン・ショック後に行い株価は回復。2020年代初頭まで上昇する金融相場の起点になったと言えるでしょう。
2022年現在の米国株投資家の声
歴史を振り返ると暴落は予兆こそあれ、ある日突然にやってきます。そして振り返って、「あれは歴史に残る暴落だった」と人々の間で記憶されるのです。2022年後半は長く続いた金融相場から一転、年初から下げ相場が続き、多くの個人投資家を不安にしています。
一方で2023年以降も米国株の未来は明るいと考えている投資家や識者もいます。ポジティブな声とネガティブな声をそれぞれ、拾い上げてみると以下のようになります。
ポジティブな声
・長い目で見れば暴落は訪れても米国経済は成長し続けるから心配はいらない
・ファンドマネージャーの多くが悲観しているが、彼らの見立ては逆指標だから米国株はしばらく崩れない
暴落は起きるかもしれないが、長期投資や積立投資ならば含み損の時期を乗り越えれば、必ず上昇に転じるから
心配がないと考えている投資家もいます。長期目線の投資家には心強い意見でしょう。
一方で暴落自体が当面起きず、むしろ上昇相場は続くという見方をしている投資家もいます。これから米国株を
はじめたい人には希望のある主張ではないでしょうか。
ただ、同じポジティブな意見でも相場の目先の見通しは異なっています。
ネガティブな声
・物価の上昇が続き不景気になるため株価暴落も時間の問題
・2022年以降、下げが続いているから今後も下げトレンドが継続するのではないか
このように米国株の先行きにネガティブな意見をもつ投資家もいます。
インフレが進むと消費活動が冷えこみ、インフレ抑制の利上げなどの政策が株式市場にネガティブな影響を与えるという主張です。また、チャート分析をする投資家には下げ相場が続いているのだから、これからも下げ続けるだろうと予測する人もいるようです。
ただ、ポジティブな意見、ネガティブな意見をもつそれぞれの投資家の今後の市況に対する見通しは、それぞれ
異なっています。
米国株が暴落する前に予兆はある?
「米国株が暴落するのでは?」と考える投資家が気にしている代表的な予兆を2つ紹介します。
特にここで紹介する①物価の高騰、②逆イールドは株式市場の今後の展開を考える際に重要な指標なので、注意しておきましょう。
①物価の高騰(インフレ)

(米国労働省より引用)
米国のインフレを見るときの代表的な指標が消費者物価指数です。消費者物価指数は直近、少し下げているものの依然、高く8%を超えています。物価が上がると買い控えが起こり企業の業績悪化につながります。またインフレを抑制するためにFRBも金利を上げるなど、株価を下げる政策をとる必要が出てきます。高いインフレは株価暴落の予兆として市場関係者から注目されています。
②逆イールド

https://fred.stlouisfed.org/series/T10Y2Y(FREDより引用)
米国の10年債と2年債の利回りを引いてマイナスになる現象を「逆イールド」といいます。
通常、金利は短期よりも長期の方が優遇されます。そのため長期金利から短期金利を引いてもマイナスになることはありません。しかし、金融不安や景気後退の訪れるシーンでは短期金利が長期金利を上回ってしまうことがあります。
この逆イールドの状態が暴落や下げ相場の前に起きていたという経験則があり、2022年現在、まさに逆イールドの現象が起きています。逆イールドも株価暴落の予兆なのではないかと考える投資家も少なくありません。
米国株の暴落局面で個人投資家ができること
米国株の暴落が起きるのか?
起きるとしたら、それはいつなのか?
正確に未来を予測することは困難です。予兆はあっても、投資家や識者の見通しも本当に人それぞれで暴落が今後、いつ起きるかなど誰にも分かりません。個人投資家ができることは暴落を予想することではなく、暴落したときの対処法や備えを十分にしておくことです。
個人投資家ができる対策を4つ紹介します。
①積立投資は原則継続する
S&P500や全世界株式の指数に連動する投資信託やETFなどを積立ている人は、暴落が起きても積立を原則、続けるのが望ましいでしょう。下げているときに買うことが将来の上昇相場の大きな利益につながるからです。暴落したからといって積立投資をやめてしまうと、積立投資の良さを捨てることになります。
ただし、暴落後に株価が戻るのに時間がかかることもあるため、投資に回しても困らない範囲で続けることが大切です。
②ポートフォリオのキャッシュの比重を高める
トレンドフォローを採用している方やポートフォリオを組んで長期投資をする方の場合は、キャッシュの比率を高めにしておくことで暴落を乗りきることができます。暴落は前触れもなく訪れますが売買ルールを決めて損切りをしっかりすることで、自然にキャッシュの比率を上げてドローダウンを耐えることができます。暴落することを見越して売買ルールとキャッシュの比重が高まる仕組みを準備しましょう。
③金投資
安全資産と言われる金への投資も株価暴落の備えになります。キャッシュ(ペーパマネー)の価値すら大きく
毀損されるような市況になった場合、金は最後の砦のような役割を果たせます。インフレと通貨危機が同時に
起きる可能性も暴落時にないとは言えません。分散投資先の一つとして金をはじめとしたコモディティへの投資も株価暴落時には選択肢に入るでしょう。
④米国株のインデックスをショートする
暴落時にタイミングよくショートポジションを取ることができれば、下げ相場も儲けのチャンスに変えることもできます。CFDのように指数を簡単にショートできる金融商品も今では、珍しくありません。
例えばサクソバンク証券のCFDは米国株の指数を簡単にショートできるため、下げ相場でも利益を出せるチャンスが多いでしょう。また、SBI証券や楽天証券では米国株の信用取引口座で売りから入るという手もあります。
ただしショートは暴落のタイミングでうまくとることが難しく、損をするときは買いのように損失が限定されない特性もあります。下げ相場でもリスクをとって積極的に利益をだしたいという方におすすめです。
まとめ
米国株暴落の歴史、予兆、対策の3点について解説しました。暴落が起きるかどうか、暴落はいつなのかを正確に予測することは不可能です。しかし、暴落したときにどのような対応をするのかを事前に決めておけば、いざというときに狼狽せずに落ち着いて対処できます。暴落を予測するのではなく、起きたときの備えが大切です。
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