「米長期金利の上昇を警戒し株式市場は値を下げた」という内容のニュースのヘッドラインが、市況ニュースでよく流れてきます。
米国の長期金利は市場関係者が注目する指標の一つです。長期金利の話題は市況のニュースを追えばすぐに見つけられます。
しかし、ニュースでとりあげられる度に長期金利を見て上がった、下がったと一喜一憂するだけでは振り回されてしまいます。
自分で長期金利の推移を調べて数字を追っていけるようになればニュースに振り回されずに、長期金利の推移を見ながら投資判断を下せるようになります。
長期金利とはそもそも何?
長期金利とは取引期間が1年以上の金利のことです。
短期金利が中央銀行の金融政策の影響を強く受けるのに対して、長期金利は市場関係者の短期金利の長期的な動向や物価の変動などの予測に左右されます。
長期金利の上昇は株価の下げにつながりやすいと言われています。
理由は長期金利が上昇すれば、元本保証がない株を買うよりも元本が保証された債券に投資資金が流れやすくなるからです。
長期金利の調べ方。キーワードは「米国10年債利回り」、「US10Y」、「DGS10」
長期金利の動向は株価を左右します。
では、どうすれば長期金利を個人で調べられるのでしょうか。
長期金利の中でも代表的な指標と言われるのが「米国10年債利回り」です。
英語ならば「US10Y」とWeb上で検索すれば米国債の10年利回りのチャートが掲載されたサイトを見つけることができるでしょう。
大手のネット証券でも米国10年債利回りのデータは、株価のチャートと同じように取得できます。
公的な機関のデータならば、FERDの連邦準備制度経済データが信頼できるため英語に抵抗がなければ、おすすめです。FERDでは米国10年債の利回りは「DGS10」と検索すれば出てきます。

https://fred.stlouisfed.org/(FRED)
長期金利の推移を確認してみましょう

https://fred.stlouisfed.org/series/DGS10(FERD:米国10年債利回り)
FREDで「DGS10」と検索すれば、米国の連邦準備制度経済データから米国10年債利回りの推移を調べることができます。
2022年に入り市況のニュースで長期金利が話題にあがることが多い理由は、長期金利が急に上昇しているためです。2022年4月現在で米国10年債利回りは2.5%の水準を超え、コロナウイルス感染拡大以前の水準まで戻ってきています。
2018年に3%を一時的に超えたことがありますが、前回の3%の水準まで余裕はそれほどありません。後、0.5%上昇すれば再び長期金利は節目の3%台に突入してしまうという状況です。
長期金利と米国株の関係は?
長期金利と米国株の関係についても解説します。
長期金利の上昇局面では、市況がどのように動く傾向があるのかを理解しておくことで適切な投資判断がとりやすくなります。
長期金利の上昇はグロース株には逆風になりやすい
長期金利の上昇はグロース株にとって逆風になります。2022年以降、長期金利の上昇でグロース株に分類されるハイテク銘柄の多くが売られました。
グロース企業は将来の成長のために積極的な借り入れをして設備投資や先行投資を行います。
そのため長期金利が上昇してしまうと利払いの負担が重くなってしまい決算に悪い影響が出てしまいます。
また、よく買われていたグロース株は割高になっていることが多いため売られるときは、高値がついていた反動で大きく下げてしまいます。
長期金利の上昇はバリュー株の物色につながりやすい
長期金利が上昇するとバリュー株に資金が流れやすくなります。2022年の長期金利上昇以降はグロース株よりもバリュー株の方がメディアで話題になっています。
また、金利が上昇するということは、お金を貸す側の企業である銀行や保険などの金融セクターも恩恵を受けやすくなると言われています。
ただし、金融セクターは短期の安い金利で集めた資金を長期の高い金利で貸し出すことで、利鞘を稼ぐというビジネスモデルです。
2022年の長短金利差は残念ながら小さい、短期金利が長期金利よりも高い逆イールドの現象が起きているため、金融セクターはそれほど上値をとれていません。
長期金利の動向だけで株の売買は結局、決められない
長期金利の推移は米国の10年債利回りのチャートを追えば分かります。
そして、長期金利上昇時は株価が下げやすいこと、グロース株が売られやすいこと、バリュー株に買いが入りやすいのが原則です。
実際に2022年の第一四半期の市況では、長期金利の上昇によって生じる動きが原則通りに起きています。
ただし、長期金利の動向だけでは株の売買を決めることはできません。
長期金利以外にも株価は業績、地政学的なリスク、物価など様々な要因の影響を受けてしまいます。また、金利の動向自体も日々、変化します。
長期金利が上昇しても株価がなかなか下がらないことや、下がるとしてもタイミングに時間差があることもあります。また、長期金利が上がっていても、また下がりはじめる展開もあります。
そのため長期金利の動向を見ながら未来を予測して、米国株をタイミング良く買ったり売ったりしても良い運用成績になるとは限りません。
例えば2018年の半ばから後半にかけて長期金利は3%を超える高い水準まで上昇しましたが、振り返ってみると下げは何度かあったものの結局、米国株のインデックスは高値を更新し続けてきました。
長期金利と個人投資家はどう向き合うべきか?
長期金利や長短金利差だけで株価は決まりません。
しかし、長期金利の上昇や長短金利差の縮小が株価下落の予兆として機能していた経験則も無視できません。
長期金利の上昇や長短金利差は投資家の慢心への警告シグナルとして追うと良いでしょう。
例えば、長期金利の上昇局面や長短金利差の縮小局面は株投資の先行きに楽観視しすぎない方が良いと考えられます。
金利の動向、株の業績など忙しい中、毎日確認するのが難しいと感じる方は比較的、金利の動向を受けない投資法を選ぶと良いでしょう。
例えば米国のインデックスに連動したETFや投資信託を定期的に積み立て続ける投資法ならば金利の動向に一喜一憂せずにすみます。
まとめ:長期金利は投資の判断材料の1つとして活用しよう
米国の長期金利の推移の調べ方と動向について解説しました。長期金利の代表的な指標は米国10年債利回りです。
「米国10年債利回り」、「US10Y」と検索すれば出てきます。米国の連邦準備制度経済データ(FRED)でも「DGS10」で10年債利回りを調べられます。
長期金利の上昇は株式市場の下げ圧力になります。特にグロース株が売られバリュー株が物色される展開になります。2022年の第1四半期は長期金利の上昇で原則通りの展開になりました。
そして長期金利の上昇は市場関係者から警戒されています。
個人投資家は長期金利の動向を注意深く見守り投資判断を下す、または金利の動向に左右されづらい投資法をするなど、それぞれの立場で長期金利の推移に向き合っていく必要があるのではないでしょうか。
とはいえ自身で価格が上がるか下がるかを判断し続けるのは大変です。
少しでも負担を減らして資産運用するなら、プロのファンドにお願いするのもよい選択肢です。
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これ以上の数値を個人で出す自信がないなら、活用しておくのもおすすめです。
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