ウォーレン・バフェットがシリウスXMに投資する理由とは?

先月開示されたウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオで、バフェットがシリウスXM【SIRI】の株を買い増しし、投資を強化していることがわかりました。シリウスXMとはどんな会社か、バフェットはなぜ同社に投資するのか、現状をまとめてみました。

シリウスXMという会社

シリウスXM(Serius XM Holdings, SIRI)は、2013年に設立されたシリウスXMラジオの持株会社です。2008年にシリウス衛星ラジオとXM衛星ラジオが合併してシリウスXMラジオが誕生、2013年にシリウスXMがそれを完全子会社化し、同時にNASDAQへの上場を果たしました。

シリウスXMラジオのビジネスは、社名の通り衛星ラジオプラットフォームの提供です。車社会のアメリカではラジオの需要が多くあり、特に通勤時などの車での移動時にラジオを聴く習慣が一般的です。しかし、FM電波やAM電波を使った一般的なラジオでは聴取可能範囲が狭く、例えば放送圏を離れると番組が聴けなくなってしまいます。

一方、衛星ラジオは衛星経由のデジタル方式で放送するので、アメリカの場合、聴取可能範囲はアメリカ大陸全体になります。車で長距離を移動する人が多いアメリカでは、衛星ラジオの聴取範囲の広さにメリットを感じる人が多く、シリウスXMラジオのユーザーも、車のオーナーを中心にその数を増やしてきました。また、衛星ラジオは参入障壁が高く、シリウスXMはアメリカの唯一の衛星ラジオ企業として市場を独占しています。

シリウスXMのビジネスモデル

では、シリウスXMのビジネスモデルはどのようなものでしょうか。シリウスXMの直近の2020年度第三四半期(2020年7月から9月末まで)決算によると、同社の同期間中の売上は20億2500万ドル(約2126億2500万円)で、内訳はサブスクリプション売上15億9400万円(約1673億7000万円)、広告売上3億4500万ドル(約362億2500万円)、機材売上4700万ドル(約49億3500万円)、その他売上3900万ドル(約40億9500万円)で、サブスクリプション売上が全体の78.7%を占めています。

サブスクリプションのメニューも豊富で、ストリーム動画配信サービスのHuluとタイアップしたシリウスXMプレミアが月額13ドルで、ニュース、天気予報、音楽、エンターテインメント、スポーツ中継などの350種類ものチャンネルが聴き放題になります。また、AmazonのスマートデバイスAmazon Echoを端末にした車搭載型サブスクリプションが月額16.99ドル、また、自動車にデバイスをビルトインするOEMタイプのサブスクリプションモデルも提供しており、シリウスMXによると、同社はGM、フォード、BMWなどの自動車メーカーに提供しているそうです。

Pandoraも買収したバフェット

シリウスXMは昨年、音楽ストリーミング配信サービス大手のPandoraを35億ドル(約3675億円)で買収し、話題を集めました。それにより、シリウスXMは「世界最大のオーディオエンターテインメントカンパニー」となり、両社を合わせたサブスクライバー数は1億人を突破したとしています。

一方で、買収完了から一年以上が過ぎた今も両社がそれぞれのブランドで事業展開をしていることを疑問視する向きもあります。Pandoraを買収したシリウスXMの幹部の一人も、シリウスXMとPandoraは、いずれも独自のブランドと独自の顧客層を持ち、マーケティング上の課題もそれぞれ固有だと認めています。

シリウスXMは、今後も当面は複数のブランドで事業展開する「ハウス・オブ・ブランド」戦略を採用するとしており、当初期待されていた合併の効果が得られるのか疑問視する声もあります。

バフェットがシリウスXMに投資する理由

では、バフェットはなぜシリウスXMに投資しているのでしょうか。バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがシリウスXMへの投資を開始したのは2016年後半からですが、その背後で、バフェットの参謀でバークシャー・ハサウェイ幹部トッド・コームズ氏とテッド・ウェシュラー氏の二人の存在が大きく影響したとされています。

コームズ氏とウェシュラー氏には、大手メディア企業リバティメディア会長のジョン・マローニ氏という共通の友人があり、マローニ氏が二人にシリウスXMへ投資するよう働きかけた可能性が指摘されています。マローニ氏が会長を務めるリバティメディアはシリウスXMの大口ユーザーであり、マローニ氏はシリウスXMの内情に相当精通していたとされているのです。

一方で、バフェットが参謀からの提言を鵜呑みにする可能性は低いとする声もあり、バフェットは、実際はシリウスXMの比較的良好な業績や財務内容などを検証し、投資を決断した可能性が高いとする向きもあります。

事の真相はバフェット本人に聞かないとわからないですが、「よくわからない、理解できないものには投資しない」という投資ポリシーを貫いてきたバフェットが、2012年頃から「よくわからない、理解できない可能性があるもの」に少しずつ投資しだしたのは紛れもない事実です。

バークシャー・ハサウェイの今後の運営において、コームズ氏とウェシュラー氏というバフェットの二人の参謀の影響力が増すことが確実と見られています。バフェットが今後、どのような会社に投資するのか、どのような戦略をもって投資するのか、世界中のバフェットウオッチャーが今後の展開を見守っています。

(参照サイト)

https://investor.siriusxm.com/investor-overview/default.aspx

https://variety.com/2019/biz/news/sirius-xm-completes-acquisition-of-pandora-1203125882/

https://www.warc.com/newsandopinion/news/why-siriusxm-and-pandora-remain-separate-entities/43183

https://www.kiplinger.com/slideshow/investing/t052-s001-6-warren-buffett-stocks-might-not-be-his-ideas/index.html

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