ウォーレン・バフェットが最近新興成長企業に投資している理由

優良企業の低評価株を安値で買い、バイアンドホールド(長期保有)してインカムゲインとキャピタルゲインを得る。バリュー投資で知られるウォーレン・バフェットと聞くと、そのようにイメージする人が多いでしょう。コカ・コーラ、ウォルマート、エクソンモービル、最近はAppleにも投資し、その投資スタイルを貫いています。その一方で、バフェットは最近いわゆる新興成長企業にも少なからず投資をしています。その理由や背景などについて考察します。

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市場関係者を驚かせた、ある新興成長企業のIPOへの投資

新型コロナウィルスのパンデミックが広がるアメリカ。今年9月にウォール街を驚かせたある出来事がありました。ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、ニューヨーク証券取引所にIPO(新規株式公開)したての新興成長企業スノーフレークの株を大量に購入し、直後に高値で売り抜けてわずか一日で8億ドル(約840億円)ものキャピタルゲインを得たのです。

1956年のフォードのIPOに投資して以来、新興成長企業のIPOにはまったく投資してこなかったバフェットに、どんな心変わりがあったのかと市場関係者は首をかしげたのです。実際に、2019年にニュースメディアのCNBCが行ったインタビューで、値上がりが確実視されていたUberのIPOに投資しないのかと問われたバフェットは、「(フォードのIPOに投資してから今日までの)54年間、IPOにはまったく投資してこなかった。(IPOに投資するには)他の多くの企業への投資と同様、投資するだけの十分な理由がなければならない」と発言、自分はUberのIPOには投資しないとしていました。

バフェットが投資したスノーフレークとは?

UberのIPOには投資しないと発言したそのわずか1年後にスノーフレークのIPOに投資したバフェット。実際に何があったのでしょうか。その前に、バフェットが投資したスノーフレークという会社を見ておきましょう。

スノーフレークは2012年設立の、シリコンバレーに拠点を置くテック系スタートアップ企業です。データベースソフト大手オラクル出身のエンジニア3人が共同で立上げた、クラウドベースのデータウェアハウスを提供する会社です。データウェアハウスとは、データベースをベースに検索機能や分析機能などを提供する仕組で、ユーザー企業は自前でインフラを用意することなく、サービスとして利用できるのが特徴です。業界ではIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)と呼ばれています 

大規模な投資なしにサービスとしてすぐに利用できる。しかも従量課金制なので使った分だけ料金を支払えばいい。クラウドコンピューティングの申し子のような仕組みは直ちに市場に受け入れられ、現在急速にユーザーを増やしています。スノーフレークによると、同社の2020年度の売上は2億6500万ドル(約278億2500万円)で、2025年度までに38億ドル(約3990億円)まで増加するとしています。その年平均成長率は、なんと70.3%にも達します。

ウォーレン・バフェットの背後にいる二人の参謀 

ところで、このバークシャー・ハサウェイによるスノーフレークIPOへの投資の背後には、ウォーレン・バフェットの二人の参謀が存在していると見られています。その二人とはバークシャー・ハサウェイの幹部トッド・コームズ氏とテッド・ウェシュラー氏です。

トッド・コームズ氏は銀行、保険、ヘッジファンドなどの金融畑でキャリアを積んできた金融スペシャリストで、2010年に投資マネージャーとしてバークシャー・ハサウェイに入社しています。以後、バフェットの懐刀として辣腕を振るっている人物です。

テッド・ウェシュラー氏もプライベートエクイティファンド、ヘッジファンドなどを渡り歩いてきた金融・投資スペシャリストで、バークシャー・ハサウェイには2012年に入社しています。ウェシュラー氏もコームズ氏同様、バークシャー・ハサウェイの未来の幹部候補と目されている人物です。

他の新興成長企業への投資も二人の助言か?

ところで、バークシャー・ハサウェイはスノーフレーク以外の新興成長企業へも投資しています。オンライン決済企業シンクロニー・フィナンシャル、ブラジルのフィンテック企業ストーン、衛星ラジオ放送プラットフォームのシリウスXM、通信企業チャーター・コミュニケーションズなどです。いずれの会社への投資にもコームズ氏とウェシュラー氏が関与していると噂されています。

バフェットは最近Amazonの株も買い増していますが、バークシャー・ハサウェイのAmazonへの投資にもコームズ氏とウェシュラー氏が関わっているとされています。二人の参謀の関与により、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオはここ数年で内容を大きく変えてきていますが、二人の関与が強まると見込まれる今後、ポートフォリオがさらに様変わりする可能性もあります。バリュー投資、バイアンドホールド戦略を旨としてきたバフェットの投資スタイルは、今まさにひとつの転換点を迎えているのかも知れません。

まとめ:バークシャー・ハサウェイの今後の投資方針に注目

この記事では、今までバリュー投資を得意としてきたことで知られているウォーレン・バフェットがパンデミック以降、新興成長企業に投資をしている理由について解説しました。

2019年はUberのIPOに投資をしなかったバフェットが、わずか1年後にスノーフレークのIPOに投資した理由としては、バフェットの背後にいる二人の参謀の存在が考えられます。

今後も参謀であるコームズ氏とウェシュラー氏、2人の関与が強まるとバークシャー・ハサウェイのポートフォリオが大きく変わっていくでしょう。

バフェットが新興成長企業へ投資を続けていくのか、今後のバークシャー・ハサウェイの投資方針とともに注目です。

(参照サイト)

https://www.cnbc.com/2020/09/16/warren-buffetts-berkshire-hathaway-just-made-a-fast-1-billion-on-snowflakes-surging-ipo.html

https://www.marketscreener.com/business-leaders/Todd-Combs-06Q6VF-E/biography/

https://markets.businessinsider.com/news/stocks/buffett-berkshire-amazon-investment-pays-off-valuation-hits-trillion-gain-2020-1-1028863917

https://www.kiplinger.com/investing/stocks/601428/best-warren-buffett-growth-stocks

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