本記事では、サクソバンク証券の口座開設を考えていて、米国株取引手数料が他のネット証券に比べて高いのかどうかを心配している方に向けて取引手数料について解説します。
米国株投資家にとって取引手数料の高さは気になるのではないでしょうか。取引手数料は投資家の工夫や証券会社選び次第で確実に、おさえられるコストです。
日本で米国株の取引サービスを展開しているネット証券各社は取引手数料の安さを競い、昔に比べて全体的に手数料は安くなってきました。SBI証券、楽天証券、マネックス証券の大手3社の米国株取引手数料は現在、ほぼ横並びです。
また、後発のサクソバンク証券やDMM証券は大手3社とは違う取引手数料でサービスを打ち出しています。日本株では老舗ながら、米国株に新規で参入してきた松井証券は大手ネット証券の取引手数料の水準に合わせてきています。
この状況でサクソバンク証券の取引手数料は高いのかどうかを、本記事では確認していきます。
サクソバンク証券の米国株取引手数料は高くない。業界最安値水準。
取引手数料(税込) | 為替手数料 | 外貨決済対応 | |
サクソバンク証券 | 0.2%(最低5〜上限15USD) | 往復25銭 | ✖︎ |
SBI証券 | 0.495%(最低0〜上限22USD) | 往復25銭(円貨の場合) | ○ |
楽天証券 | 0.495%(最低0〜上限22USD) | 往復25銭(円貨の場合) | ○ |
マネックス証券 | 0.495%(最低0〜上限22USD) | 買い0円、売り25銭(円貨の場合) | ○ |
DMM証券 | 0円 | 往復25銭 配当受け取り1円 | ✖︎ |
松井証券 | 0.495%(最低0〜上限22USD) | 往復25銭 配当受け取り0円 | ✖︎ |
米国株の取引手数料はSBI証券、楽天証券、マネックス証券が横並びです。サクソバンク証券とDMM証券は円貨決済のみの対応で独自の取引手数料を打ち出しているという状況です。
円貨決済を選ぶのか、外貨決済を選ぶのか一回の取引で約定する金額次第ですが、サクソバンク証券がSBI証券、楽天証券、マネックス証券の取引手数料よりも安くなるケースはかなりあります。
本記事では、場合分けして考えてみましょう。(ここでは計算を単純にするため為替手数料は省いています)。まずはサクソバンク証券と日系ネット証券最大手のSBI証券を比べてみます。
サクソバンク証券とSBI・楽天・マネックスの米国株取引手数料比較
例えば1回のトレードで1000USD約定した場合を考えます。サクソバンク証券なら0.2%で2USDですが最低手数料が5USDのため5USD。SBI証券ならば4.95USD。少しSBI証券が安いものの、あまり変わりません。
1500USDで約定した場合はどうでしょうか。サクソバンク証券ならば取引手数料0.2%で3USDになりますが、最低手数料が5USDのため5USD。SBI証券は取引手数料0.495%で計算すると7.425USD。今度はSBI証券のほうがサクソバンク証券よりも高くなりました。
では、5000USDの場合はどうでしょう。サクソバンク証券なら10USD。SBI証券ならば0.495%の取引手数料だと24.75USDですが上限を上回っているため22USDになります。サクソバンク証券のほうが、かなり安くなります。
楽天証券、マネックス証券、松井証券の手数料はSBI証券とほぼ横並びのため省略します。
このように取引して約定する価格帯がどの辺りになるかで、サクソバンク証券が安くなることも、高くなることもあります。
目安として1000USD以下の取引が多ければSBI証券や楽天証券、マネックス証券が有利で、1回の約定価格が1000USDを超える場合は、サクソバンク証券がSBI証券や楽天証券、マネックス証券よりも取引手数料が安くなっていきます。
サクソバンク証券とDMM証券の取引手数料比較
次にDMM証券とサクソバンク証券の比較です。米国株取引ができるネット証券で後発のDMM証券は取引手数料0円を打ち出しています。DMM証券とサクソバンク証券は、どちらも円貨決済のみのため簡単に比較できます。
結論はDMM証券のほうがサクソバンク証券よりも安くなります。DMM証券の取引手数料0円なので当たり前です。
ただし、DMM証券は取引手数料が安い代わりに、取扱銘柄数がサクソバンク証券に比べると、少なめです。
(2022年時点でサクソバンク証券が約6,000銘柄。DMMは約1,200銘柄。ただし、DMMは取扱い銘柄数を急速に増やしている)
サクソバンク証券の取引手数料は決して高くはない
ここまでの話をまとめます。サクソバンク証券の取引手数料は他社に比べると最安値ではないものの、高すぎるということはないという結論になります。
1回の約定価格が1000USDを毎回、軽く超える投資家ならば外貨決済のことを考えなければ、サクソバンク証券はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券に比べて安くなります。
DMM証券に比べるとサクソバンク証券の取引手数料は高いものの、サクソバンク証券の取扱銘柄数はDMM証券よりも圧倒的に多い点は見逃せません。投資家それぞれの1回あたりの投資金額のボリュームや選びたい銘柄によって、最適な証券口座は変わってきます。
サクソバンク証券の取引手数料で知っておきたい2つのこと
サクソバンク証券の取引手数料で事前に注意しておきたい2つのポイントをご紹介します。
円貨決済のみに対応
サクソバンク証券はSBI証券、楽天証券、マネックス証券と違い円貨決済にしか対応していません。そのため、毎回、取引する度に為替手数料がかかります。また、円が高いときにまとめて米国株を買い付ける資金を米ドルでプールしておくことができません。
リアルタイムの株価取得は任意だが別途費用がかかる
リアルタイム株価取得価格 | 備考 | |
サクソバンク証券 | ナスダック7USD/1ヶ月 NYSE 7USD/1ヶ月 | それぞれのマーケットデータ取得に課金が必要 |
SBI証券 | ナスダックとNYSEの両方が月額330円(税込) | インターネット経由の注文で米国株式(米国ETF含む)の売買の約定が1回以上あれば無料 |
楽天証券 | ナスダックとNYSEの両方が月額330円(税込) | インターネット経由の注文で米国株式(米国ETF含む)の売買の約定が1回以上あれば無料 |
マネックス証券 | ナスダックとNYSEの両方で月額550円(税込) | 外国株口座に米ドルまたは米国株の残高があればリアルタイム株価が無料で閲覧可能(Lv2板情報も見れる) |
DMM証券 | 無料 | |
松井証券 | 無料 |
サクソバンク証券の取引ツールは、リアルタイムの株価データを取得するには別途費用がかかります。ただし、20分遅れのデータなら無料で見ることができます。
海外のネット証券では、株価のデータ取得は別途契約が必要なケースは珍しくありません。例えば米国資本のインタラクティブ・ブローカーズ証券でもリアルタイムの株価データ取得には別途費用がかかります。
ちなみにサクソバンク証券では、レベル1というリアルタイムの株価取得はナスダックで7USD/1ヶ月、NYSEでも7USD/1ヶ月かかります。つまり米国のナスダックとNYSEの2つの市場のリアルタイムの株価データを取得しようとすると14USD/月が別途かかる計算になります。
ちなみに、さらに詳しい板情報の閲覧も追加費用を払えば可能です。例えばナスダックなら20USD/月で閲覧できます。詳しい板情報サービスを提供しているのは、サクソバンク証券以外にはマネックス証券のみです。
日系のマネックス証券は、外国株口座に米ドルまたは米国株の残高があればリアルタイム株価が無料で閲覧できます。別途月額550円を払えばLv2と呼ばれる板情報まで閲覧可能です。
株価データや板情報閲覧サービスのコストパフォーマンスはマネックス証券が他のネット証券に比べ一歩リードしています。
楽天証券ならば、月額330円(税込)でNYSEもナスダックのリアルタイム株価を閲覧できます。しかも1ヶ月に1回、米国株の取引があれば無料になります。
SBI証券も楽天証券と同じ条件で株価のリアルタイム閲覧ができます。DMM証券はECN(電子証券取引所)「BATS Exchange」が配信するリアルタイム株価を無料で見ることができます。
ただしSBI証券、楽天証券、DMM証券のリアルタイムデータは、売りと買いの先頭気配情報のみの表示となります。
リアルタイムの株価データ取得の観点だけを見ると、日系の大手ネット証券の方がサクソバンク証券よりも低コストと言えるでしょう。ただ、Yahoo!Financeの米国版やInvesting.comなどでもリアルタイムの株価データ取得は可能です。
最初はリアルタイムの株価データを無料のデータを見ながら取引して、必要になったらリアルタイムの株価データ取得サービスに申しこむのも良いでしょう。
サクソバンク証券より取引手数料が安い海外証券の落とし穴
サクソバンク証券の取引手数料は、海外のインタラクティブ・ブローカーズ証券やFirstrade証券に比べて高いと感じる方もいるかもしれません。
特に日本在住の日本人でも郵送で口座開設ができることで知られる米国のFirstrade証券の取引手数料は0USDです。しかもドル建てで取引できるため為替手数料もかかりません。
海外の仮想通貨取引所に口座開設する人も多い時代なので、海外証券に口座を開いた方が有利な投資・トレードができると考える方もいるかもしれません。
しかし、海外証券の利用には注意が必要です。
海外証券は繰越控除の適用ができない。サクソバンク証券は適用できる。
海外証券は繰越控除の適用がありません。つまり翌年以降に損失を繰り越すことができません。
例えば1年目に損失が円建てで100万円出たとします。2年目に円建てで利益が100万円出たとします。損失繰越控除が適用されれば、1年目と2年目の損と利益を合算すると0円ですから税金はかかりません。
しかし、損失繰越控除が適用できないと2年目の利益100万円に対して税金がかかります。
1年目と2年目損益を合わせると0円ですが、利益に対して20.315%(約20万円)の税金がかかるため実質、マイナスになってしまいます。
つまり、取引手数料が海外証券の方が一見、安いものの日本の税制上、不利になってしまうケースが多いため取引手数料の安さだけで海外証券を選ぶとかえって高くついてしまう可能性があるということです。
海外証券は確定申告が煩雑になる
海外証券で利益が出た場合、確定申告が原則、必要になります。しかし、日本の口座のように特定口座がないため自分で取引履歴を外貨建てで計算しなければいけません。
確定申告がかなり煩雑になるため、投資や税金に詳しくない方が海外証券を使うのはハードルが高いと言えるでしょう。
サクソバンク証券は特定口座に対応しているため、確定申告が煩雑にはなりません。
サクソバンク証券は外資系だが日本法人である点が魅力
サクソバンク証券は外資系ですが、日本法人である点が魅力です。外資系ならではの日系のネット証券とは、一線を画した取引手数料や投資対象がある一方で、日本人でも使いやすい特定口座対応や日本語サービスもあります。
日系の大手ネット証券とサクソバンク証券の優劣は、なかなかつけがたいところです。
しかし、日系のネット証券にはないサクソバンク証券の強みがあります。取引手数料も最安値ではないものの、決して高くはありません。
むしろ1回の約定金額が1000USD以上を超える投資家ならサクソバンク証券の取引手数料は安いのではないでしょうか。
まとめ
サクソバンク証券の取引手数料は高いのかどうかについて解説しました。サクソバンク証券の取引手数料は1回の約定金額が約1000USD以上を毎回、超えるならSBI証券や楽天証券、マネックス証券よりも安くなるケースが多くなります。
リアルタイムの株価データ取得に関しては日系のネット証券の方が安く取得できます。ただし、リアルタイム株価だけなら米国版、Yahoo!Financeでも無料で取得できるため気にしすぎることはないでしょう。
また海外証券の中には、サクソバンク証券よりも取引手数料が安いところもありますが税制上、海外証券は不利なため単純な取引手数料だけでは比べるべきではありません。
サクソバンク証券の取引手数料は他に比べて高くはなく、豊富な取引対象や日本人向けの特定口座、日本語サービスも充実しているため、はじめたて投資をする方にも2つ目以降の口座開設を検討している方にもおすすめできる口座です。
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