外国株の取引には為替リスク・為替レートが影響します。円安が進めばドル建ての米国株を買う際に割高になってしまいます。
特に2022年から円安が加速しドル円相場は130円台にまで達しました。ドル建てで保有している米国株は円建て換算では上昇したものの、円での米国株新規買付けは割高に感じてしまう投資家もいるでしょう。
また、日本円が元手の日本人投資家が米国株を買う場合、円をドルに何らかの形で替える必要があります。その際に円をドルに替えたりドルを円に替えたりする為替手数料も取引コストに影響していきます。
ドル円相場は個人でもどうにもなりませんが、良心的な両替の為替レートを提供している取引業者を選ぶことはできます。本記事ではサクソバンク証券の為替手数料のレートを他のネット証券と比較していきます。
サクソバンク証券の米国株取引は円貨決済のみに対応
まず、米国株のネット証券には外貨決済に対応しているところと、円貨決済にしか対応していないところがあります。サクソバンク証券は2022年5月現在、円貨決済にしか対応していないネット証券に分類されます。
円貨決済はドルを持っていなくても米国株を買い付けるときに、証券会社側で円をドルに両替して購入してくれる便利な決済方法です。しかし、米国株を買ったり売ったりする際に毎回、ドル円の両替手数料が発生します。
この売買の度にかかる為替手数料のレートが米国株の取引手数料とは別に上乗せされる「見えづらい取引コスト」となっています。この見えづらい取引コストを可視化することで、「実際に負担する取引コスト」が浮き彫りになります。円貨決済しか選択肢がないサクソバンク証券では、為替手数料やレートを無視できません。
米国株購入で気になるサクソバンク証券と大手ネット証券の為替レート比
買いの両替手数料 | 売りの両替手数料 | |
サクソバンク証券 | 25銭 | 25銭 |
SBI証券 | 25銭 | 25銭 |
楽天証券 | 25銭 | 25銭 |
マネックス証券 | 0銭(2022年5月現在) | 25銭 |
DMM証券 | 25銭 | 25銭 |
松井証券 | 25銭 | 25銭 |
本記事では円貨決済の際に売買ごとにかかる為替手数料で比較しました。SBI証券、楽天証券、マネックス証券の3社は外貨決済にも対応しています。サクソバンク証券、DMM証券、松井証券は円貨決済のみの対応です。
表にまとめた通り米国株を取り扱っている主なネット証券の円貨決済時の両替スプレッドのレートは、ほぼ25銭で横並びです。マネックス証券が買付時の両替手数料を0銭のキャンペーンをしていますが、いつまで続くのかは分かりません。
各社で少し不透明なのが、その日その日で適用される実勢為替レートです。例えば売買のスプレッドが25銭でも、同日にA社では130円が実行レート、B社では130.5円が実行レートになるぐらいの微妙な差が出てくることはあるでしょう。
しかし、各社とも極端に顧客に不利な為替レートを毎回、適用していたらSNSやネットが盛んな時代では問題になります。誤差の範囲と考えてよいのではないでしょうか。
次に盲点になりがちな配当金受け取りの為替レートについても言及します。
- サクソバンク証券は配当金の受け取りは日本円。為替手数料は0円
- 松井証券の配当受け取りは日本円。受け取り時の為替手数料0円
- DMM証券の配当受け取りは日本円。受け取り時の為替手数料1円
- SBI・楽天・マネックスは配当金を外貨で受け取る
配当金狙いではない投資家には、あまり関係のない情報ですが配当金の受け取りで各社に違いがあります。円貨決済のみに対応しているネット証券では配当金も円で受け取ることになります。そして、配当金を受け取る際にもドルから円に両替する手数料が発生するところもあります。
しかし、サクソバンク証券では配当金受け取り時に為替手数料がかかりません。他に円貨決済のみのネット証券で配当金受け取りの為替手数料「0」円を打ち出しているのは、新しく米国株取引に参入したネット証券老舗の松井証券です。
一方、取引手数料「0」円を打ち出しているDMM証券は配当受け取りで1ドル1円の為替スプレッドが発生します。配当金を重視する米国株投資家は、どのネット証券が配当金の受け取りで有利なのかを検討してみると良いでしょう。
日本円で配当を受け取るならサクソバンク証券と松井証券が有利です。
為替レートの小さな差よりドル円相場の動向が重要
米国株を取り扱っているネット証券各社は、それぞれ取引手数料の引き下げ競争をしています。そのため、取引手数料や為替手数料に微妙に差はありますが、極端に大きいわけではありません。
むしろ売買するタイミングや何を買っていつ売るかの方が運用成績の大きな差になります。そのため為替レート以外の使いやすさ、取り扱い銘柄や金融商品なども含めて総合的に取引に使うネット証券を選べばよいでしょう。
各社の微妙な為替レートの差より、その日その日のドル円の相場の方に気を配るべきです。
サクソバンク証券のFXはレートよりも通貨ペアと約定力に強み
サクソバンク証券は米国株だけでなくFX取引のサービスも提供しています。サクソバンク証券のFXのレートはどうなのでしょうか。結論から言えば、FXの取引レートが(変動性+手数料)で他の日系のFX専門業社に比べて極端に有利なレートではありません。
ただし、サクソバンク証券のFXにはレート以外の2つの強みがあります。
① 通貨ペアが豊富
② 約定力
サクソバンク証券は通貨ペアの種類が業界トップの162通貨ペアです。マイナーな通貨ペアを売買できるのが
強みです。また、FXの世界ではよく注文を出しても約定しないことが起こります。俗に「注文がすべる」などと
言われる現象です。しかし、サクソバンク証券は注文がしっかり約定することで定評があります。
過去にサクソバンク証券は総合約定力並びにベストレート獲得回数で第一位になった実績もあります。通貨ペア
の豊富さと約定力の高さを重視するならFX取引でもサクソバンク証券を活用するのも良いでしょう。
まとめ
サクソバンク証券の米国株取引にかかる為替レートは特別に良いわけでもなく悪いわけでもありません。日本のネット証券の米国株取引にかかる為替レートはほとんど横並びと言ってもよい状況だからです。
円貨決済に限定すると横並びなので、そこまで神経質に気にする必要はありません。ただ米国株をする際に為替の実行レートやスプレッドのレートは、常についてまわります。
特に2022年はドル円相場が2022年から大きく動き円安が加速しています。株価だけでなく為替リスクを意識しておくと良いのではないでしょうか。
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