・CFDってそもそも何?
・CFDのメリット・デメリットはあるの?
・米国株CFDと米国株の信用取引と何が違うの?
・どんな人におすすめ?
このような疑問はありませんか。
また、CFDならレバレッジがかけられたり、空売りできたりするという情報を目にしたことがある米国株投資家の方も多いのではないでしょうか。一方で「米国株の信用取引でもCFDと同じことができるのでは?」と思っている方もいるかもしれません。
実はCFDは米国株の信用取引と似ているところもありますが、CFDならではの良さがあります。本記事では「米国株投資をしているけどCFDについても詳しく知りたい」という方のために、CFDについて解説します。
CFDとは?
CFDとは「Contract For Difference」の略で、日本語では「差金決済取引」のことです。差金決済取引では現物取引とは異なり、売買で発生した損益のみの受け渡しで取引が完結します。CFDの対象には国内外の株だけでなく、株価指数、金や原油のコモディティなど幅広くあります。また、現物株の取引と違い証拠金を用意する点で信用取引や先物取引に似ています。
そして、CFDには大きく分けて店頭CFDと取引所CFDの2種類が存在します。
①店頭CFD
店頭CFDは取引所を介さずに投資家とCFD取引サービスを提供する会社との差金決済取引です。例えばサクソバンク証券が提供しているCFD取引ならば、個人投資家とサクソバンク証券が直接、取引をすることになります。一般的にCFD取引は店頭CFDのことを指します。
店頭CFDを提供している各証券会社や金融取引のブローカーは、取引所CFDよりも一般的にたくさんの銘柄を取り扱っています。業者によっては米国株の個別銘柄のCFDの取り扱いも豊富です。また、各社が企業努力でコストを抑えた取引環境を提供しているところも、投資家にとって魅力があります。
ただし、取引先の業者が破綻してしまった場合は預けた証拠金が全額返還されない恐れがあります。
日本のCFD取引では顧客から受け取った金銭や証拠金は分別管理が義務付けられているため、業者が破綻しても分別管理された資産は直接、返還される仕組みがあります。しかし、信託口座への入金に2営業日かかるなどのタイムラグの関係で全額返還されない場合があるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
②取引所CFD
取引所CFDとは、東京金融取引所が運営する「くりっく株365」という差金決済取引サービスです。「くりっく株365」を提供している証券会社やブローカーは複数ありますが、注文は東京金融取引所につながります。店頭CFDに比べると取引できる銘柄は少ないものの、日経225やNYダウ、NASDAQ-100、DAX、FTSE100などの主要な株価指数や金ETF、原油ETFを取り扱っています。
取引所CFDは店頭CFDに比べると取り扱い銘柄が限られていたり、取引コストが店頭CFDより高かったりします。しかし、投資家が預けている証拠金は原則、全額保護される仕組みのため安心して取引できるのが強みです。
CFDを活用するメリット・デメリットは?
CFDを活用することで得られるメリットとデメリットを紹介します。
CFDのメリット
主にCFDのメリットは以下の通りです。
・レバレッジをかけられる
・日計り商いが可能(デイトレードの回転売買の制限なし)
・空売り(ショート)ができる
・24時間取引が可能(銘柄によるが全体で見ると何かしら取引可能)
・一つの口座で株、コモディティ、指数などを取引可能
現物の売買よりもレバレッジをかけらたり、空売りができたりします。このように、1日に何回も同じ銘柄を取引できるなど自由度の高さが魅力です。
CFDのデメリット
CFDにはデメリットもあります。主なデメリットは以下の通りです。
・取引にかかるコストが分かりづらい
・証拠金取引に慣れていないとリスクが高い
・長期保有には向いていない
CFDの取引手数料は売り買いの価格差(スプレッド)です。FXと同じ仕組みです。CFDのスプレッドは変動性のスプレッドが一般的に採用されており、相場が大きく動くとスプレッドの幅も動きます。そのため取引手数料
が一定の株取引に比べると取引コストを細かく計算しづらいことがあります。
またCFDは信用取引や先物取引と同様に証拠金取引です。証拠金取引では、一定額の資金を預け入れて預けた
資金以上のお金を動かせます。その代わり預け入れた金額以上の損失を出してしまうことや、追加証拠金を用意
しなければ強制的に決済されてしまうリスクもあります。そのためリスク管理が得意でない人には不向きです。
そして、CFDで特に気をつけたいのがオーバーナイト金利の存在です。CFDで買いポジションを持って日をまたぐと金利を支払わなければいけないことがあります。そのため長期保有をすると金利を負担し続けなければいけないということも。そのような事情もありCFDは長期保有にはあまり向いていません。
CFDと米国株信用取引との共通点と違い
2022年、日本でも一部の証券会社で米国株の信用取引ができるようになりました。米国株の信用取引の特徴は以下の通り。
・レバレッジがかけられる
・空売りができる
・日計り商いが可能
米国株の信用取引ではCFDと似たようなメリットが挙げられます。
ここで多くの方が疑問に感じるポイントが「米国株のCFDと米国株の信用取引は何が違うのだろう?」という部分ではないでしょうか。米国株の信用取引との共通点や違いと比べながらCFDの特徴をさらに深掘りしていきます。
CFDも信用取引も空売り(ショート)が可能
CFDでも米国株の信用取引でも空売り(ショート)が可能です。下げ相場でも利益が狙える点でCFDと信用取引は共通しています。ただし、信用取引で空売りをする場合は株を借りて売る必要があります。しかし、株が借りられないこともあります。一方、CFDならFXと同じような感覚で簡単に売りからポジションを取れる強みがあります。
証拠金(委託保証金)
CFDも信用取引も証拠金取引である点で共通しています。ただし、米国株の信用取引の場合は日本証券業協会
が定めたルールがあります。例えば最低委託証拠金が30万円以上、委託保証金率50%、追証30%などの基準が
定められており、各証券会社はルールに従って取引環境を提供しなければいけません。
一方、店頭のCFDは最低委託証拠金、委託保証金率、追証などの基準が、米国株の信用取引ルールとは異なります。例えば信用取引なら最低30万円は必要でも店頭CFDなら30万円以下で取引できたりします。米国株の信用取引のどちらで取引するか迷ったときは、証拠金などの違いを比べてみるのもよいでしょう。
金利
店頭CFDも米国株の信用取引にも金利があります。
例えばサクソバンク証券の米国株CFDでは買い建て金利が基準金利+3.5%(支払い)、売り建て金利が-3.0%(受け取り)。楽天証券の米国株信用取引の場合は買い方の金利が基準金利+3.5%、貸株料2.0%(売り方が株を
借りるときに支払う費用)となっています。このように米国株CFDでも信用取引でも金利が発生しますが違いがあるため、自分の取引スタイルに有利だと思う方を選びましょう。
レバレッジの違い
CFDも米国株の信用取引でもレバレッジをかけられます。ただし、米国株の信用取引でかけられるレバレッジは約2倍が上限。一方、店頭CFDでは2倍以上のレバレッジがかけられます。例えばサクソバンク証券では約5倍までのレバレッジをかけた取引が可能です。
手数料形態の違い
CFDと米国株の信用取引では手数料の形態が異なります。CFDの場合はFXのようなスプレッドが取引コストになります。一方で米国株の信用取引の場合は手数料が証券会社にもよりますが一定です。例えば楽天証券の信用取引の場合は約定代金の0.33%、上限16.5USDと設定されています。(米国現地証券取引所手数料も別途かかる)
CFDのスプレッドは変動するため、取引手数料の透明感にこだわる場合は米国株の信用取引の方が良いでしょう。
損益通算の違い
損益通算できる主な取引 | |
CFD | くりっく365、先物・オプション、FX、外為OP、株式指数バイナリーオプションなど |
米国株信用取引 | 現物株 |
CFD くりっく365、先物・オプション、FX、外為OP、株式指数バイナリーオプションなど
米国株信用取引 現物株
CFDと米国株の信用取引では損益を通算できる金融取引の違いがあります。CFDは現物の株取引との損益通算ができないことに注意が必要です。その代わりCFDはFXや先物取引、オプションなどのデリバディブ取引と損益通算ができます。一方で現物株との損益通算をしたい場合は信用取引を選びましょう。
決済期限・限月
CFDには先物取引とは異なり期日が来ると自動で決済されるということがありません。米国株の信用取引の場合、買い建ては無期限ですが売り建ての返済期限が6ヶ月となっています。決済期限・限月がCFD、先物、信用取引で異なるため注意が必要です。
CFDに向いている投資家のタイプは?
CFDの特徴を米国株の信用取引と主に比較しながらまとめました。
結局のところ「CFDに自分が向いているのかどうか? 」が気になるのではないでしょうか。CFDに向いている
タイプの投資家は以下の通りです。
積極的にトレーディングする投資家
CFDは買いポジションに金利がかかるため長期保有には向いていません。しかし、自由度の高い取引ができるためトレードを積極的にするタイプの投資家に向いています。かけられるレバレッジ、銘柄数などCFDは米国株の信用取引に比べても高いところが魅力です。
FXや先物と損益通算をしたい投資家
FXや先物取引、オプション取引などのデリバディブ取引との損益通算をしたい方にもCFDは向いています。
一方で現物株と損益通算をしたい場合は信用取引を選ぶと良いでしょう。
まとめ
CFDについて解説しました。CFDはトレーダーにとって自由度の高さが魅力です。また2022年から日本でもできるようになった米国株の信用取引とCFDには共通点があります。しかし、CFDには信用取引にはない良さもあるため、違いを理解して自分に適している方を選ぶようにしましょう。
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