・株だけではなく債券投資も必要?
・そもそも債券って株とどう違うの?
・債券にも分散投資をするべき?
・債券に分散投資をするメリット・デメリットを知りたい
このような疑問や悩みはないでしょうか。債券は株とは違った魅力がある投資先です。分散投資をする際に債券も組み入れるべきかどうかで迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では債券をポートフォリオに組み入れるべきか悩んでいる方に、債券の基礎、債券をポートフォリオに組こむメリット、債券に本当に投資するべきかどうかを解説します。
債券とは?
債券とは、国や地方公共団体、会社などが資金を借り入れるために発行する有価証券です。国が発行した債券は国債、会社が発行した債券は社債と呼ばれます。
債券には満期が定められており、満期日には額面金額が払い戻されます。そして満期までの間、保有していれば決められた利子が支払われます。ただし、債券は必ずしも満期日までもつ必要がなく途中で売ったり買い戻したりも可能です。債券の価格は満期までの残存期間や発行している団体の信用、利子などの様々な要因で決まります。
また、債券の利子についても簡単に触れておきます。
債券の利子は発行元の信用で左右されます。例えば経済基盤がしっかりした先進国の債券は金利が低く、経済的な足腰の弱い新興国の債券は金利が高くなります。債券には貸倒れのリスクがあるため、貸し倒れのリスクが高いほど金利を高くしなければ投資家が債券に投資をしてくれないからです。金利が高すぎる債券を買う際には注意が必要です。
債券と株の違い
債券の株と比べた特徴は主に以下の2つです。
・ボラティリティ(値動きの幅)が小さい
・低リスクだが株よりも低リターン(長期目線でみると)
債券は株に比べて値動きの幅が小さいのが特徴です。また、満期まで保有すれば貸し倒れしない限り、額面金額(元本または予め約束した金額)が受け取れるため一般的に株よりリスクが低いと言われています。その代わり長期的な目線では株投資の方が債券投資よりもリターンが高いと言われています。
分散投資で債券に投資をするメリット4つ
債券をポートフォリオに組みこむことで主に4つの効果が期待できます。
①インカムゲイン
②キャピタルゲイン
③元本保全
④景気後退リスクへの備え
順番に解説していきます。
①インカムゲイン
債券を保有していると一般的に四半期、半年、1年に一度、クーポン(利息)という形でインカムゲインが期待できます。株でも配当という形でインカムゲインがあります。しかし、業績悪化などで出ないことや少なくなることも珍しくありません。しかし、債券のクーポンは株に比べると確実性の高いインカムゲインが魅力です。
②キャピタルゲイン
債券は利息を受け取るだけでなく、市場に売却することでキャピタルゲインも期待できます。利息を得ながら、
債券価格が上昇したところを売り抜け、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙う戦略をトータル・リターン戦略と言います。
③元本保全
債券はデフォルト(債務不履行)が起きない限りは、元本が保証された投資先です。そのため、リスクを抑えた
運用をしたい投資家にとって債券は魅力的な投資先です。
④景気後退リスクへの備え
「株価が下がると債券価格は上昇する」「株価が上がると債券価格は下落する」と言われています。
一般的に株価が下がるとリスク回避で安定した利回りが期待できる債券が買われるため、債券価格が上昇するためです。そのため債券は景気後退の局面でも安定した利回りを狙える運用先として魅力があります。債券に分散投資をすれば、株式だけのポートフォリオよりも安定します。
分散投資で債券に投資をするべき?
分散投資で債券にも投資をするべきかどうかで悩む方もいるのではないでしょうか。債券に分散投資をするべきかどうかは運用方針や投資資金によります。
資産を持っていて守るべき人
債券は株式よりも長期的にみるとリターンが低い投資先です。しかし、安定性の高い投資先で資産を増やすよりも減らさないことを主眼にしている方に向いています。既に十分な資産を持っている人なら、無理にリスクをとるよりも債券のリターンでも十分な利回りが期待できます。
資産の増減を緩やかにしたい人
債券はボラティリティが小さい投資先です。そのため、債券に分散投資をすることで株式のみのポートフォリオよりも資産の増減を抑えることができます。資産の増減が日々、激しいことに耐えられない、または不都合な場合は債券への分散投資も視野に入るでしょう。
債券にあえて分散投資をする必要がない人
債券に投資をすることでリスクを抑えた運用が可能になります。しかし、債券のリターンは長期的には株式に比べると高くなかった歴史があります。積極的にこれから資産を増やしていきたいと考える場合、債券に分散投資をしてしまうと資産形成に時間がかかってしまいます。
これから資産を育てていこうという人でリスクを許容できる場合、債券に分散投資せず株式に集中投資をした方が良いでしょう。
株に長期投資できる人
高配当バリュー株投資家の間で有名なジェシミー・シーゲルの著書『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす』では、長期的に見ると株のリターンは債券のリターンを大きく上回っていると指摘されています。そのため長期目線で資産形成を目指すなら債券をポートフォリオに入れずに、株式のみでポートフォリオを組むのも手です。
リスクをとってでもこれから資産形成していく人
債券をポートフォリオに組みこむとリスクを抑えられる代わりに、高いリターンを期待しづらくなります。リスクをとってでも資産形成をしていきたい人なら債券に分散投資を無理にする必要はありません。
例えばサラリーマンで十分な収入があるが資産があまりない場合、投資で資産が目減りしても安定的に給与が入るため生活的には心配はいらないでしょう。サラリーマンの人的資本から得られる安定収入が債券投資の代わりになります。そのため高収入のサラリーマンなら無理に分散せずに株式への集中投資の方が結果的に効率よく資産形成できる可能性があります。
一方、資産は十分にあっても年齢や病気などで働けない場合は、元本の目減りを抑えながら運用する必要があります。そのため債券への分散投資でリスクを抑えた運用をするのも良いでしょう。
債券の分散投資ならETFと投資信託が簡単
ネット証券で実際に新規発行の債券を買おうとすると、先着順で人気の債券は完売していたり、欲しい債券が売ってなかったりします。また、個人で複数の債券を買ってポートフォリオを購入するのは手間です。しかし、株と同様、債券もETFや投資信託を通じて分散投資できます。
例えば
BND(ヴァンガード・トータル・ボンド・マーケットETF)
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス
なら売買しやすく、しかも多くの債券に広く分散投資が可能です。債券をポートフォリオに組み込むなら投資信託やETFを活用してみるのもおすすめです。
まとめ:債券投資はリスクを抑えて運用したい人向け
債券への分散投資について解説しました。株式だけでなく債券にも分散することでポートフォリオ全体の増減が緩やかになり、景気後退局面でも資産を守りやすくなります。守備的な運用をするなら債券への分散投資は良い選択肢です。
一方、これから資産形成をしていきたい人、積極的にリスクをとっていきたい人は債券に分散せずに株式のみでポートフォリオを組む方が高いリターンを期待できます。
債券に分散投資をするべきかどうかはリスク許容度や運用方針によります。自分の運用方針を考えて、債券への分散投資が必要かどうかを考えてみるきっかけになれば幸いです。



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