投資の勉強を始めると「卵は一つのカゴに盛るな」という格言を目にすることがあるのではないでしょうか。
この格言は投資の分散投資の重要性を説いています。しかし、
- 何故、分散投資をするべきなの?
- 分散投資をするなら具体的にどんな方法がおすすめ?
- 分散投資をすれば下げ相場にも対処できる?
など、投資をはじめたばかりだと分散投資について様々な疑問がでてきますよね。そこで本記事では分散投資について最低限、知っておくべきことを解説します。分散投資について正しく知ることで投資家としての実力が向上するはずです。
分散投資と集中投資はどちらがおすすめ?
結論から言えば、一般的な投資家ならば分散投資がおすすめです。
投資家の中には「分散投資は無知な投資家がすることで、集中投資の方が良い」と主張する人もいるかもしれません。たしかに失敗せずに集中投資を継続的に成功させることができれば大きく儲けることができるでしょう。
しかし、一点集中の投資を繰り返していくと一度の大きな負けで、積み重ねてきた利益を大きく吹き飛ばしてしまう恐れがあります。そして、集中投資の成功は声高に語られるため目立ちますが、失敗は表にあまり出てきません。
もし、一点集中投資を繰り返して資産を膨らませる自信があるなら集中投資を選ぶのも良いでしょう。ただ、一般的な個人投資家は投資で勝ったり負けたりを繰り返しながら、やっとの思いで利益を積み上げます。分散投資ならば一つの投資先で損を出しても限定的です。別の利益が出ている資産で損を補填できます。
分散投資をするメリット・デメリット
分散投資をするメリット・デメリットをそれぞれ深掘りします。
分散投資のメリット
①リスクを抑えられる
・分散投資で得られる20%の利益
・集中投資で得られる20%の利益
この2つなら前者の分散投資で得られる20%の方が優れています。
「同じ20%なのに何故?」と疑問に思われた方もいるでしょう。なぜなら、分散投資の方が集中投資よりリスクを抑えたうえでのリターンだからです。資産運用の世界では利益を出すことも大切ですが、損をなるべく避ける
ことも同様に重要です。投資を長く続ければ続けるほど集中投資で大きく損をしてしまう可能性が高くなります。
長く投資を続けようと考えている人こそ分散投資はメリットがあります。
②パフォーマンスの良い銘柄を拾いやすくなる
分散投資をするとパフォーマンスの良い銘柄を拾いやすくなります。集中投資でパフォーマンスの良い銘柄を1本釣りするのは意外に難しいものです。絶対に伸びると思った銘柄が鳴かず飛ばずということも珍しくありません。しかし、分散投資で仮に10銘柄を選べるとしたら伸びる銘柄がポートフォリオに入りやすくなります。
分散投資に損切りを組み合わせれば、10銘柄中、1〜2銘柄でも大きく伸びればトータルで利益を出しやすくなります。残りのプラスの銘柄が損失を補填する程度の利益になっても、1〜2本の大きく伸びた銘柄で十分、パフォーマンスを出すことが可能です。
分散投資のデメリット
①投資資金が少なすぎると恩恵が少ない
投資する資金が小さすぎる場合、分散してまでリスクを抑えるより集中投資で、短期間で高いリターンを狙う方が効率よく資産形成できることもあります。ただし、投資資金が少ない場合でも10銘柄に投資するところを4〜5銘柄に絞るなど、分散する度合いを変えることでリスクとリターンのバランスを調整できます。
②短期で稼ぐには不向き
投資は基本的に腰を据えて長い目でするものです。しかし、短期で決着をつけなければいけない場合、分散投資
のリターンでは目的を達成できないということもあるでしょう。ただ短期の場合、リスクに晒される期間は短くなるとはいえ、集中投資のリスクが高いことに変わりはなく投機的なポジションになりがちです。
分散投資をする方法【投資信託?個別株?】
分散投資を具体的にするにはどうすれば良いのかを
①投資信託・ETFを使う分散投資
②個別株を組み合わせて自分で分散投資
この2種類に分けて解説します。
①投資信託・ETF
投資信託やETFを使えば簡単に分散投資ができます。しかも個人では難しいS&P500の構成銘柄を全てバスケットで買ったり、高配当銘柄ばかりを集めたポートフォリオを丸ごと小口で買ったりもできます。近年、信託報酬が安く個人投資家に優しい投資信託が人気です。
例えば、大手ネット証券の一つ楽天証券の投資信託ランキングでは、
1位:eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
2位:楽天・全米株式インデックスファンド
3位:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
が上位です。(2022年10月現在)
米国、または全世界の株式に広く分散投資できるタイプのインデックスファンドが上位3位を占めています。
②個別株でポートフォリオを組む
個別株でポートフォリオを組むのは、1点集中投資とインデックス投資の中間のような立ち位置です。
分散投資には個別株でポートフォリオを組む方法もあります。個別株でポートフォリオを組む場合、投資信託の
ように何百もの銘柄を広く浅く分散することは難しいでしょう。その代わり個別株の分散投資では10銘柄〜15銘柄程度の精選されたポートフォリオを組める強みがあります。
分散投資のアセット・アロケーションの組み合わせは無限
アセット・アロケーションとは運用する資産配分のことです。分散投資は奥が深く同じ組み合わせの銘柄でも比率を変えるだけで、運用成績やリスク・リターンが大きく変わります。そして、どんな資産を組み込むかも自由です。そのためアセット・アローケーションの組み方は無限に存在します。
集中投資と違いアセット・アロケーションを考えるのは手間がかかります。また、管理も面倒です。しかし、
無限にあるアセット・アロケーションで自分の理想のポジションを作れる良さがあります。集中投資では作れないポジションを作れるのは分散投資の面白いところです。
下げ相場は分散投資で乗り切ることはできる?
分散投資をすれば下げ相場を乗り切ることができるのでしょうか。残念ながら分散投資をしても下げ相場では、
株式というアセット自体が全体的に下げてしまいます。分散投資はリスクを抑えるのに有効な手段ではありますが、本当の大きな暴落では分散をしても全ての持ち株が下げてしまう可能性が高いのです。そのため、下げ相場では分散投資だけではなく、キャッシュポジションを増やすことで対応しましょう。
まとめ:長期投資に取り組む際は分散投資を意識する
分散投資のメリットについて解説しました。長期間、腰を据えて投資で資産形成を目指すなら分散投資がおすすめです。集中投資はリスクが高く少ない失敗で大きく資産を失ってしまうリスクがあります。
しかし、分散投資ならリスクを抑えられます。また、分散投資の組み合わせは無限に存在するため自分の考えを限りなく再現したポートフォリオも形成できます。
集中投資のように短期間の投機的な利益を出すことはできませんが、一般的な投資家は分散投資を選ぶのが無難です。



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