できるだけ低リスクで資産運用をしたいなら、元本保証を望む方が多いでしょう。元本保証で運用できる方法は金利が低いものの、元本割れしない安定感があります。
この記事では元本保証のある運用方法を紹介します。ただし元本保証にこだわることには別のリスクもありますので、併せて把握しておいてください。
※本記事は投資関連の情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断で行っていただきますようお願いします。
元本保証とは
そもそも元本保証とは、運用期間を通じて投資したお金が減らない、損失が発生しないことを保証することを意味します。株式や投資信託などの資産運用方法は、高いリターンを得られる可能性がある一方、投資したお金が減少する「元本割れ」を起こすリスクがあります。
完全に元本保証が付いている金融商品は銀行預金ですが、それ以外にもリスクが非常に低い「ほぼ元本保証」と言える商品も複数あります。
余談ですが、仮想通貨や株式などのリスク資産にも関わらず「元本保証」をアピールする投資の勧誘が行われることがありますが、ほぼすべて詐欺なので絶対に手を出さないようにしてください。また元本保証としながら、運用方法が不透明な投資もやめておくべきです。
元本保証のある資産運用方法
銀行の預金は、金融機関が元本保証を付けています。
ネット銀行の普通預金・定期預金
銀行預金は元本保証の反面、ほとんど利息が付かないと考える方もいるでしょう。しかしネット銀行はメガバンクや地銀から顧客を奪うため、高い金利となっているケースが以下のとおり数多くあります。
・あおぞら銀行・普通預金(BANK口座):0.2%
・あおぞら銀行・定期預金(BANK口座):0.2~0.25%
・auじぶん銀行・普通預金:最大0.2%
・GMOあおぞらネット銀行・普通預金(証券コネクト口座):0.11%
・楽天銀行・普通預金:最大0.1%
一般的な銀行の金利が0.001%であることを踏まえると、上記のいずれもかなり高いと言えます。ただし高金利とするには、証券口座と連携させたり特定のクレジットカードを利用したりといった条件が設けられているケースもあります。事前に条件内容を確認し、達成できるかを判断してください。
ネット銀行もペイオフの対象になっているため、万が一銀行が倒産したとしても1,000万円以内の預金は全額が保障されます。 低リスクかつ高金利で運用したい方は、1,000万円以内の資金をネット銀行で運用するのも良いでしょう。
ネット銀行以外の普通預金・定期預金
ネット銀行以外でも、下記のように高金利を実現している金融機関がいくつかあります。
・愛媛銀行・四国八十八カ所支店・定期預金:最大0.22%
・香川銀行・セルフうどん支店・定期預金:0.15%(100万円まで)
・豊田信用金庫・とよしんインターネット支店・定期預金:0.2%
地方銀行や信用金庫などで、ネット銀行に負けない水準の高金利を実現しているところがあります。住まいや職場の近くの金融機関でこのようなサービスがないかを調べてみるのもよいでしょう。ただし高金利となる預金は上限が制限されている場合もあるので注意してください。
低リスクでほぼ元本保証の資産運用方法
ここからは、運用リスクがかなり低く、ほぼ元本保証と言える金融商品について見ていきましょう。
個人向け国債
個人向け国債とは、日本国が個人に対して発行する債券です。元本や利子は日本国が保証するため、国が破綻しない限りは損をするリスクはかなり低いと言えます。
2022年9月現在、以下の種類の個人向け国債の募集があります。
・変動10年:0.16%
・固定5年:0.05%
・固定3年:0.005%
変動10年は高金利で途中で金利が上がる可能性もありますが、10年預けなければならず、途中で金利が下がるリスクもあります。固定5年・3年は比較的短期で、途中で金利が下がるリスクはないものの、逆に金利が上がるメリットもありません。
個人向け国債の注意点は、中途解約で手数料が発生することです。満期前に解約すると直近2回分の利子相当額×0.79685の換金手数料が引かれることになります。
地方債
地方自治体が発行する債券で、国債の次にリスクが低いとされています。地方債には大きく分けて全国型と住民参加型があり、金融機関を経由して申し込めば、どこの地方債でも購入できます。
国債よりもやや高い利回りとなっていて、2022年4月の地方債の発行実績を見ると、10年債の表面利率は0.274%~0.299%です。 国債よりもう少し良い利回りを得たい方に向いています。
ただし地方自治体といえども破綻リスクはゼロではありません。2007年には北海道・夕張市が財政破綻となりました。投資する前に、自治体ごとの財政状況を調べておく必要があります。
社債
一般企業が発行する債券も、満期まで保有できれば元本割れのリスクは低い商品です。よって企業の安定性が高いほど、社債のリスクも低くなります。
ただし非常に有名な大手企業の社債は倍率が高いので、希望しても購入できないことも。また扱う社債は証券会社によって違うのも注意点です。
円建ての貯蓄性保険
保険は死亡・病気・ケガなどの保障だけでなく、貯蓄性のある商品もあります。死亡保障のある終身保険、老後にお金が支払われる個人年金などが具体例です。
円建ての貯蓄性保険は、満期となる前に解約をしなければ元本割れにならないケースが多いです。ただし外貨建ての保険などは、円建てよりリターンが良くなる可能性がある一方、元本割れのリスクもあります。
また保険商品は10年・20年など、長期的にお金がロックされるのも要注意点です。もう少し短期で運用したい方は、別の手段を選ぶのが良いでしょう。
元本保証の資産運用も100%安心とは言えない理由
元本保証なら安心と思う方は多いですが、実は厳密には100%安心とは言えません。その理由と対策方法を解説します。
インフレに対応できない
インフレとは物やサービスの価格が上昇することで、現在世界的なインフレが進行しています。100円で買えたものが120円に値上げといったことになると、お金の価値が目減りすることを意味します。
日本は比較的インフレが軽いとされていますが、スーパーなどの物が高くなったと感じる方は多いのではないでしょうか。資源価格の高騰や円安などを背景に、輸入品などの値上げが相次いでいます。
日本の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、20227月に前年比2.6%増、生鮮食品を除いたコアCPIでは2.4%増となりました。
しかし預金や国債などの金利は低く、預けていても大きく増えないため、インフレについていくことはできません。今後もインフレがさらに進行していくと、資産の価値がどんどん相対的に減少して苦しくなると考えられます。
インフレ対策になる資産運用方法
インフレ対策になる資産運用として、株式、投資信託、金、不動産、外貨預金などがあります。リスクはあるものの、資産運用の一部に取り入れることを検討するのも良いのではないでしょうか。
投資の初心者でも実践しやすいのは、株式や投資信託を、長期で積立投資をしていくことです。投資というとまとまった資金が必要ではと思う方もいるかもしれませんが、実際には少額で投資できる方法がたくさんあります。
投資信託は毎月100円から積み立てることができますし、米国株なら1株から少額で買付をすることができます。NISAやiDeCoといった非課税メリットのある制度でこれらの商品に投資をするのも良いでしょう。
まとめ
元本保証の金融商品は銀行預金で、ネット銀行や地方の金融機関では、高金利の普通預金・定期預金を提供しています。低リスクでほぼ元本保証の金融商品には、個人向け国債、地方債、社債、円建ての貯蓄性保険があります。
元本保証や低リスクの金融商品は、投資したお金が減る可能性がほとんどないことで安定性を重視する方に人気です。
ただし元本保証であったとしても、インフレに対応できないという大きな欠点があります。日本も含め世界的なインフレが進行している現在、値上がりに無縁でいられる方はいません。
元本保証にこだわるのではなく、必要に応じて株式や投資信託といった資産運用を取り入れることも考えたいものです。
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