・20代から資産運用を目指すのは早すぎない?
・20代におすすめの資産運用の方法はないの?
・20代でも明日からでもはじめられる具体的な資産運用を教えてほしい
このような疑問、悩みがある20代の方もいるのではないでしょうか。
20代で就職が決まり社会人になっても給与明細を見てみると「源泉徴収や社会保険、年金などで手元に残るお金はこんなものか…」と感じてしまう方も多いでしょう。これでは、資産運用に回すお金を捻出するのが大変だと感じるのも無理はありません。
一方、メディアやSNSでは経済的に先行き不安を感じさせるニュースが流れており、資産運用の必要性を感じる20代も少なくありません。例えば野村総研の調査でも若年層で投資をしている人が増えているという結果が
でています。
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/financial_business_trends/1215(野村総研公式サイトより)
「お金に余裕がなくても20代から資産運用は始めるべきなのか?」、「もし20代から資産運用するならどのようにすればいいのか?」について本記事では解説します。
20代をとりまく環境
まず、一般的な日本人の20代がおかれている状況について整理してみましょう。
客観的に自分の置かれている状況を把握して資産運用をするべきかどうかを考える参考にしてみてください。
20代の平均年収

民間給与実態統計調査(令和元年分) より引用
国税庁の調査によると20代の平均年収は、20代前半と後半で大きく差がついています。
20〜24歳の平均年収は264万円。25〜29歳の平均年収は369万円です。20代前半の方が年収は少ないですが、年収が増える20代後半でも結婚資金や子育てなどをすることになれば投資に回す余裕は少なくなるかもしれません。
資産運用は原則、余剰資金で行うべきです。しかし、この年収では日々の生活費や出費を除くと投資に充てられる資金は、それほど大きくはないのが一般的でしょう。
日本人の平均寿命と定年
日本人の平均寿命は令和元年のデータ(令和元年簡易生命表より引用)では
・男性81.4歳
・女性87.45歳
となっています。もしかしたら、医療技術の進化で寿命はもっと伸びていくかもしれません。
定年は一般的に65歳とされています。こちらも、労働人口の減少によって定年が伸びたり、定年そのものがなくなったりする可能性もあるでしょう。資産運用の観点からいくと20代だと定年まで40年以上の猶予があります。定年後も寿命まで約20年以上は年金と若いときに形成した資産と定年後でもできる仕事で生計を立てる必要がありそうです。
20代の資産運用は時間を味方につける
年収が低い20代の資産運用の強みは時間を味方にできることです。例えば毎月2万円の積み立てで想定利回り(年率)2%の比較的、低リスクな投資をしたとします。
積立期間が10年だと
元本240万円
運用収益+39.5万円
になります。
しかし、運用期間が30年になると
元本720万円
運用収益+445.5万円
という結果になります。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/(金融庁より)
ここまで差が出る理由は長期投資には、複利の力が働くからです。複利とは、運用で得た収益を当初の元本にプラスして再び投資することです。
金融庁の資産運用シミュレーションを使ってみると、長期投資の効果を実感できるでしょう。無理なく長く続けられる投資を少しでもすることが可処分所得の少ない20代でも取り組める資産運用の勝ち筋です。
20代からはじめる長期投資に適した金融商品は?
20代の長期投資に適した金融商品の条件は
・無理なく少額からはじめられる
・長期でみると安定的に伸びる
この2点が重要です。
一方、限られた余剰資金から長期で資産運用をするとなると、リスクの高い暗号資産への投資や頻繁な売買を繰り返すデイトレード、大きな資金が必要な不動産投資は一般的な20代にはハードルが高いのではないでしょうか。20代でも無理なくはじめられる金融商品を紹介します。
投資信託・ETF
投資信託とは、投資家から集めた資金を一つにまとめ、投資の専門家の運用会社が代わりに株式や債券、コモディティ、不動産など様々な対象に投資・運用をして、その成果を投資家に還元する金融商品です。この中でも、特に米国の主要インデックスS&P500に連動しているもの、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスという世界の株価指数に連動しているものが人気です。

(楽天証券より)
たとえば大手ネット証券の楽天証券では、1位がeMAXIS Slim米国株式、2位が楽天・全米株式インデックス・ファンド、3位がeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が売れ筋です。(2022年9月現在)
資本主義は世界全体で見たら伸び続ける、米国の経済成長は長い目で見れば続くという前提が崩れなければ、
これらのインデックスファンドは長期投資先として、おすすめです。
ロボアド
ロボアドとは、ロボアドバイザーの略で自分の運用スタイルや目的に合った商品を提案してくれる便利なサービスの総称です。中には提案してくれるだけでなく放ったらかしでも、運用を任せられるサービスもあります。
・ウェルスナビ
・FOLIO
・楽ラップ
などが具体的なサービスとして挙げられます。自分の考える運用戦略を選べば、あとは全自動で分散投資ができ
適宜、ポートフォリオを調整できます。投資に手間をかけたくない人には、おすすめのサービスです。
米国の優良株
1株からでも買える米国株も、長期で保有できる銘柄をしっかり選ぶことができればおすすめです。
個別株投資では、それぞれの企業の決算や将来性などを細かく確認する面倒な点、個別銘柄ならではのリスクも
あります。しかし、投資信託やロボアドよりも高いパフォーマンスも期待できるため余裕があれば取り組んでも
良いでしょう。
20代でも活用するべき制度は?
多くの20代は投資に回せる余剰資金を十分に確保することは難しいでしょう。そこで活用したいのが投資の利益を非課税にできる制度です。投資期間の長い20代こそ、非課税の恩恵を受けることで長期的にみて運用成績に差がつきます。
利益を非課税にできる制度には年に投資できる額に上限はあります。しかし、一般的な20代ならば非課税にできる制度の上限いっぱいまでの余剰資金を毎年、用意するのも大変でしょう。まずは、これから紹介するNISAやiDeCoで使える枠を上限まで使ってみることをおすすめします。
NISA | 「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度。 「一般のNISA」と「つみたてNISA」から選ぶ(20代ならば) |
iDeCo | 公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の一つ。 掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置がある。 |
どっちが有利?メリットとデメリットは?iDeCoとNISAの違いを解説
特に20代ならNISAの中でも「つみたてNISA」という少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度の活用がおすすめです。
つみたてNISA概要
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年40万円が上限(非課税投資枠は20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年間 |
投資対象 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
NISA概要(2022年現在)
非課税投資枠 | 年間120万円 最大600万円 |
非課税期間 | 最長5年 |
投資対象 | 上場株式、投資信託など |
20代で毎年、投資資金を捻出するのは大変です。一般のNISAで年120万円いっぱいまで投資資金を捻出するのは難しいでしょう。非課税投資枠は年度をまたいで持ち越せないため、資金が少なければ非課税枠を無駄にしてしまうかもしれません。
しかし、つみたてNISAなら年間40万円で非課税期間が最長20年間もあります。一般NISAと違い個別株などに投資はできませんが、投資信託をコツコツ長期で積み立てるなら、つみたてNISAがおすすめです.
20代は投資資金と生活資金を分けて長期運用がおすすめ【まとめ】
20代の資産運用における大きな特徴は
・可処分所得が一般的に少ない
・資産運用の時間は長期でとれる
この2点です。そのため少額から始められ、無理なく長く続けられる資産運用がおすすめです。
たとえば、米国の主要インデックスS&P500やMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する投資信託やETFに、つみたてNISAやiDeCoをうまく活用しながら投資をするところからはじめてみてはいかがでしょうか。
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