株式投資についての情報を調べていると「セクター」という言葉を見かけることがあります。業種のようなものかなと察しがつく方もいるでしょう。さらにセクターについて理解を深めれば、米国株投資に役立ちます。
今回はセクターの分類方法、各カテゴリーの概要について解説します。セクターを理解して、投資に活用してみてください。
※本記事は投資関連の情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断で行っていただきますようお願いします。
米国株のセクター分類方法は2種類ある
セクターとは産業・業種の意味で、米国株では合計11種類のカテゴリーに分けられています。同じカテゴリーに属する銘柄は、株価も似た変動をする傾向が見受けられます。
米国株については2つの分類基準があり、GICSとICBです。それぞれについて見ていきましょう。
GICS分類のセクター一覧
世界産業分類基準のことを示すGICS分類です。格付け会社のS&Pダウ・ジョーンズと、投資情報会社のMCSIが共同開発したセクター分類で、一覧は下記のとおり。
- Health care(ヘルスケア)
- Financials(金融)
- Real estate(不動産)
- Consumer discretionary(一般消費財)
- Consumer staples(生活必需品)
- Industrials(資本財)
- Materials(素材)
- Energy(エネルギー)
- Utilities(公益)
この下に24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループが構成されています。
ICB分類のセクター一覧
ICBは業種分類ベンチマークのことで、金融サービス会社のFTSEインターナショナルによる分類基準です。ICBも11のセクター分類を行っており、2021年には以下のとおりに変更されました。
- Energy(エネルギー))
- Basic Materials(素材)
- Industrials(資本財)
- Consumer Staples(生活必需品)
- Healthcare(ヘルスケア)
- Consumer Discretionary(一般消費財)
- Telecommunications(情報通信)
- Utilities(公益)
- Financials(金融)
- Technology (情報技術)
- Real Estate(不動産)
GISC分類・ICB分類の違い
2つの分類基準の違いは、通信関連のセクターにあります。GICSのCommunicarion Servicesは通信会社だけでなく、ネット経由のコミュニケーションツール・娯楽産業も含まれます。たとえばNetflixやAlphabet(Googleの親会社)などもここに分類されます。
一方でICBのTelecommunicationsは狭い意味での通信サービスのみが対象で、AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズなどです。
S&P500のセクター構成比(GICS分類)
S&P500に投資をしている方も多いのではないでしょうか。米国を代表する大企業500社で構成される株式インデックスです。S&P500のGICS分類におけるセクター構成比は下記のとおりです(2022年7月21日時点)。
- 情報技術:26.8%
- ヘルスケア:15.1%
- 金融:10.8%
- 一般消費財:10.5%
- 通信サービス:8.9%
- 資本財:7.8%
- 生活必需品:7.0%
- エネルギー:4.4%
- 公益事業:3.1%
- 不動産:2.9%
- 素材:2.6%
最も多いのは情報技術で、25%以上を占めます。現在のアメリカの基幹産業であり、米国株式市場をけん引してきたことが分かります。
GICS分類の各セクター
GICS分類における11のセクターについて、それぞれ簡単に解説します。
情報技術
IT関連の製品・サービスの開発や販売を手掛ける企業が含まれるセクターです。情報技術セクターはさらに4つの分類に分けられ、半導体、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク・インターネットです。
他のセクターより成長率が高く、米国株の上昇の要因となってきたセクターです。市場での人気が高く、高価格で取引されるのであまり配当を行いません。その分を再投資に回す企業が多く見られます。
情報技術セクターの代表銘柄は、アップル、マイクロソフト、エヌビディアなどです。
ヘルスケア
医療サービスや医療保険を提供する企業、医療機器メーカーなどがヘルスケアセクターに含まれます。医療ニーズは景気の状況に関係ないため、経済状況にはさほど左右されません。
ただし製薬メーカーは巨額な投資が必要ですが、当局からの承認を得られない場合は投資が無駄になります。その結果、株価が大きく下落するという側面もあることに注意が必要です。
ヘルスケアセクターの代表銘柄は、ファイザー、ノバルティスなどです。
金融
個人向け・法人向けの金融サービスを提供する銘柄が属するセクターです。銀行や投資会社などが含まれます。フィンテックの発展により、金融業界への新規参入が増え、大きな変化を見せている業種です。
金融セクターは経済の回復時は好調となる傾向があり、好景気のときのパフォーマンスはさらに向上します。ただし景気後退が続くと大きなダメージを受けるセクターでもあります。
金融セクターを代表する銘柄は、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、シティバンクなどです。
通信サービス
固定回線やワイヤレス回線などのネットワークを構築し、通信サービスを個人・企業向けに提供している企業です。インターネットの普及に伴い、SNSや動画配信サービスもシェアを拡大しています。
通信セクターの代表銘柄は、AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズ、アルファベットなどです。
資本財
製造業や建設業向けの機械や設備の製造、それらに関連するサービスを提供する企業です。資本財銘柄は景気の変動に敏感に反応する傾向があります。
資本財の代表銘柄として、スリーエムやボーイングなどがあります。
生活必需品
人々にとって毎日の生活に欠かせない製品を提供する銘柄です。具体的には食品、飲料、家庭用品、パーソナルケア用品などが挙げられます。
生活必需品はディフェンシブと呼ばれ、景気の影響を受けにくい傾向です。業績や配当が安定しているため、景気後退期に需要が高まるセクターでもあります。
生活必需品セクターの代表銘柄は、コカ・コーラ、P&G、ウォルマートなどで、日本人にもよく知られた銘柄も含まれています。
一般消費財
生活必需品ではないとみなされる製品の製造・販売を展開する企業がこのセクターに含まれます。高所得層に人気の高級アパレルブランドなども含まれます。
一般消費財セクターは景気が良い時に好調となる傾向が見受けられます。経済状況が良好だと必需品を購入した後も余剰資金が増え、消費への意欲が高まるためです。
一般消費財セクターの代表銘柄として、アマゾン・ドットコム、ナイキなどが挙げられます。
エネルギー
エネルギーの生産・供給を手掛ける銘柄で構成されるセクターです。石油・天然ガスの生産、パイプラインなどのインフラ、鉱山などの事業を展開する銘柄が含まれます。再生可能エネルギーも含まれており、近年は社会的な関心が高まっています。
エネルギーセクターの代表銘柄として、エクソンモービル、シェブロンが有名です。2022年のウクライナ危機などが原因で世界的にエネルギー需要が高まったことから、両社の株価は大きく上昇しました。
公益事業
ガス・電気・水道といったインフラを提供する銘柄が属しているセクターが公益事業です。生活必需品と同様、生活に欠かせないものであり、景気に影響を受けにくいセクターです。
公益事業セクターの代表銘柄は、電力会社のNextra、電力およびガス会社のDominionなどがあります。
不動産
あらゆる不動産を取り扱う銘柄で構成されるセクターです。具体的には住宅用不動産、工業用不動産、オフィスリート、小売用リートなどの分野があります。
不動産セクターは景気、物価、金利といった様々な要素の影響を受けやすい特徴があります。代表銘柄は、アメリカンタワー、プロロジストリート、クラウンキャッスルなどです。
素材
素材とは紙、石、金、銀などのことです。金属や鉱石などの探査・開発・加工を手掛ける企業が素材セクターに含まれます。
素材セクターの代表的な銘柄は、デュポンやダウ・ケミカルなどです。
まとめ:セクターにこだわって分散投資をする
この記事では、株式投資をする際に知っておきたい「セクター」に関して分類方法や各カテゴリーの概要について詳しく解説しました。米国株におけるセクター分類はICB分類とGICS分類の2種類があり、双方とも11のセクターに分類しています。米国株価指数のS&P500で上位を占めるセクターは、情報技術、ヘルスケア、金融、一般消費財、通信サービスとなっています。
分散投資をするなら、セクターについてもあまり大きな偏りのないように気を配りたいところです。また景気の影響を受けやすいセクター、受けにくいセクターがあります。景気動向などに応じて、投資先のセクターを検討するのも良いかもしれません。



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