バフェットが投資した日本の総合商社・これまでの業績は?

90歳の誕生日を迎えた2020年8月30日、ウォーレン・バフェットは伊藤忠、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の5社の日本の総合商社に総額で62億5千万ドル(6563億円)投資したと発表し、話題を集めました。バフェットが日本の総合商社へ投資した理由については様々な憶測が飛んでいますが、実際のところ、投資先のこれまでの業績はどうなっているのでしょうか。

2020年度9月中間決算では5社すべてが前年より業績悪化

2020年度9月中間決算では、伊藤忠、丸紅、三菱商事、三井物産の4社が減益となったことに加え、住友商事が602億円の赤字に転落、5社すべてが前年より業績を悪化させる結果となりました。住友商事は、オーストラリアの発電事業、インドネシアの自動車金融事業、マダガスカルのニッケル事業などで巨額の損失を計上し、唯一赤字を計上する形になりました。住友商事は、2021年3月期通期で1500億円の赤字を見込んでいます。

いずれも新型コロナウィルスのパンデミックの影響を受ける中、業績改善の兆しも見られています。伊藤忠の4~6月期の最終損益は対前年比で28.9%のマイナスとなったものの、7~9月期では1477億円と、四半期では過去最高を記録しています。一方で、三井物産と三菱商事の業績の落ち込みがひどく、三井物産が9月中間期で対前年比53%、三菱商事が64.2%、それぞれマイナスになっています。

2021年3月期通期の最終損益では、伊藤忠4000億円、三菱商事2000億円、三井物産1800億円、丸紅1500億円の黒字を見込んでいます。

伊藤忠は多くの分野で業績回復へ

5社の総合商社の中で、特に伊藤忠はIR資料の中で、多くの分野で業績が回復基調にあると説明しています。伊藤忠の本業ともいうべき「繊維」は全般的に回復、「機械」も店舗再開などにより回復、「金属」も鉄鉱石価格が堅調に推移、「エネルギー・化学」も合成樹脂トレード、衛生用品・日用品の取扱いが堅調、「食料」も夏場に低温関連の物流が増加した関連会社日本アクセスや単体トレードが堅調、「住生活関連」もイギリスのロックダウン解除以降堅調に推移、「情報および金融」も伊藤忠テクノソリューションズ、コネクシオ、ベルシステム24、ほけんの窓口などの関連会社が順調に推移と、具体的に示しています。新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響から伊藤忠が脱しつつある状況が見てとれます。

丸紅の業績も回復基調

伊藤忠と同様に丸紅の業績も回復基調にあります。丸紅はIR資料で、当初業績予想に対する進捗率が102%であったことについて、原油および銅などの資源価格が当初想定を上回って推移したことでエネルギー・金属の業績が改善したこと、食料および化学品などの業績が好調だったことを理由に挙げています。2021年3月期通期については、新型コロナウィルスの今後の広がり方や収束時期なども鑑み、1500億円の黒字に上方修正したとしています。

先が見えない住友商事

伊藤忠や丸紅の業績が回復基調にある一方、先が見えないのが住友商事です。上述の通り住友商事はオーストラリアの発電事業、インドネシアの自動車金融事業、マダガスカルのニッケル事業などで巨額の損失を計上した上、今後インドの特殊鋼事業、欧米州青果事業などでさらなる減損損失が発生する可能性があるとしています。

その一方で、メディア・デジタル事業部門、生活・不動産事業部門、資源・化学品事業部門、南アフリカ鉄鉱石事業、化学品・エレクトロニクス事業などの分野で業績が回復基調にあるとしています。住友商事は、いわば投資に失敗した過去の事業の膿を出す過程にあり、それを完全に出し切るまでは完全回復は見込めないかもしれません。

バークシャー・ハサウェイは5社の株の買い増しも

バークシャー・ハサウェイは、今後も日本の総合商社への投資を続け、最大で各社の発行済み株式の9.9%程度まで買い増す可能性があるとしています。ただし、具体的にどの会社の株をどれだけ買い増すのかについては明らかにしていません。バフェットは短期で売り買いをするタイプの投資家ではないものの、株価や配当などのパフォーマンス如何では、今後5社に対するポジションを変えてくる可能性もあります。

ところで、気になる5社の株価ですが、バフェットが5社に投資した8月から今日(11月27日)までに、伊藤忠、丸紅、三菱商事、三井物産の4社の株価は8%程度値上がりし、住友商事の株価は15%値上がりしています。バイアンドホールド投資を旨とするバフェットにとっては、悪くないスタートを切ったと言っていいでしょう。

なお、バフェットが日本の総合商社に投資をしたことはアメリカでも大きな話題になっていて、多くのアナリストがその理由などについて解説しています。多くが日本の総合商社の株が低評価株であることと高配当であることを理由としていますが、中にはバフェットを追って日本の総合商社へ投資しようと勧める向きもあります。バフェットによる日本の総合商社への投資は、外国人投資家を日本の株式市場へ呼び込む効果を生じたのは間違いないようです。

(参照サイト)

https://www.bnnbloomberg.ca/buffett-japan-wager-paying-off-in-value-switch-taking-stock-1.1524611

https://www.sankeibiz.jp/business/news/201110/bsd2011100744003-n1.htm

https://kabutan.jp/news/?b=k202011040035

https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/ir/report/summary/2020/2009Tanshin_3R7gb.pdf?la=ja

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

【DMM 株】口座開設
LINE証券

最近のコメント

    【DMM 株】口座開設
    LINE証券
    ページ上部へ戻る