ヒートマップは市場の状況をビジュアルで直感的に把握できるツールです。米国株投資のヒートマップといえば、「FINVIZ(フィンビズ)」が有名です。
今回はFINVIZとはどのようなツールなのか、どのような活用方法ができるのかを分かりやすく解説します。誰でも無料で利用できるので、米国株投資に生かしてみてはいかがでしょうか。
※本記事は投資関連の情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではありません。また将来の値動きについて確約するものでもありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断で行っていただきますようお願いします。
ヒートマップツールの「FINVIZ」とは
米国の株式市場の動きをぱっと見で把握したいなら、FINVIZのヒートマップが便利です。投資家の間でも有名なツールですが、サイトにアクセスできる方なら誰でも利用できます。
一部のメニューは有料会員限定ですが、ヒートマップも含めて主要なツールは無料で利用可能です。マネックス証券の公式サイトでも「米国優良投資情報サイト」の1つとして紹介されており、信頼性があると評価されているサイトです。
サイトの言語は英語で、日本語には対応していません。しかしそれほど難しい用語は出てこないので、米国株投資にある程度慣れた方なら大きな問題はないでしょう。
投資の初心者でまだ用語に慣れていない場合、「Google翻訳」を使えばある程度日本語で表示させることも可能です。ブラウザの「Chrome」や、モバイルアプリで利用できるので、必要に応じて利用するのも良いでしょう。
FINVIZにはヒートマップの他に、スクリーニング、パフォーマンス比較といった機能もあります。詳しくは最後に紹介しますので、そちらもご参照ください。
FINVIZのヒートマップの活用方法
FINVIZのヒートマップの使い方について解説します。
銘柄別・セクター別の騰落率を見る
※2022年4月1日時点のデータ
FINVIZのトップ画面の上部のタブで「Maps」をクリックすると、最初に上のようなヒートマップが表示されます。こちらはS&P500のヒートマップであり、四角いボックスの中にMSFT(マイクロソフト)、AAPL(アップル)といった銘柄名が表示されています。
各銘柄の24時間の騰落率が表示され、赤色はマイナス、緑色はプラスを意味します。上の図の場合、情報技術、通信、一般消費財など、全体的に下がった銘柄・セクターが多かったことが分かります。しかしソフトウェアを見ると明暗が分かれていており、イントゥイットやケイデンス・デザイン・システムズは上がっています。
このように、各銘柄やセクターの株価が上がったのか下がったのか、このヒートマップを使えば一目で簡単に状況を把握できます。FINVIZに表示されているセクターは下記のとおりです。
・TECHNOLOGY:情報技術
・COMMUNICATION SERVICES:通信
・CONSUMER CYCLICAL:一般消費財
・CONSUMER DEFENSIVE:生活必需品
・REAL ESTATE:不動産
・FINANCIAL:金融
・HEALTH CARE:ヘルスケア
・INDUSTRIALS:資本財
・ENERGY:エネルギー
・UTILITIES:公共事業
・BASIC MATERIALS:素材
銘柄・セクターの規模

先ほどのヒートマップでもう1つ分かることは、それぞれの銘柄・セクターの規模の大きさです。各ボックスの面積は時価総額の大きさに比例しています。
ボックスの大きさを観察すれば、米国株市場また各セクター市場において、代表的な銘柄、影響力の大きい銘柄がどれかが分かります。
よっていわゆる「GAFAM」が非常に大きなボックスとなっており、その他にテスラ、エヌビディア、バークシャーハサウェイ、P&G、ウォルマート、コカ・コーラなどのボックスが比較的大きくなっています。
セクター別では情報技術、通信、一般消費財などは規模が大きい一方で、エネルギー、不動産、公共事業、素材などのボックスは小さくなっています。
中長期のパフォーマンスをチェック
先ほどのヒートマップは直近24時間での結果でした。FINVIZではそれ以外の期間を見ることもできます。
画面左側の「1 Day Performance」の項目をクリックすると、1週間・1ヵ月・3ヵ月・6ヵ月、1年といった期間を選ぶことが可能です。本稿執筆時点で1年を選ぶと、下記のような画面になりました。

※2022年4月1日時点のデータ
1年間で見ると緑色のボックスが目立っており、数多くの銘柄が好調となっています。特に情報技術、ヘルスケア、生活必需品は主要な銘柄がほぼすべて緑色であり、セクター全体として株価が上昇したことを表しています。
先ほどの1日でのヒートマップとはまったく状況が違っていることが分かります。
世界のヒートマップを表示
画面左側の「MAP FILTER」の項目で、ヒートマップの対象地域を切り替えることができます。デフォルトでは米国のS&P500に設定されていますが、「World」をクリックすることで、アメリカ以外の世界のヒートマップが表示されます。

※2022年4月4日時点のデータ
画面左側にはカナダやメキシコなどの北米・中南米、中央にはイギリス・フランス・ドイツなどのヨーロッパ、右側には日本・中国などのアジアが表示されます。日本を見ると、トヨタ自動車(TM)、ソニー、三菱UFJフィナンシャルグループなどが大きなボックスとなっています。
各国における時価総額の大きな銘柄を見ると、イギリスはアストラゼネカ(AZN)やユニリーバ(UL)、ドイツはSAPやビオンテック(BNTX)、中国はアリババ(BABA)やペトロチャイナ(PTR)などとなっています。この日は世界全体で株式市場が好調で、カナダはマイナスですがそれ以外の地域はほぼすべて緑色のプラスになっていることが分かります。世界のマップについても、集計期間を1ヵ月や1年などに切り替えることが可能です。
またマップフィルターで「Full」を選択すると、全世界の銘柄をセクター別に表示させることができます。たとえば生活必需品の欄にはAmazon、テスラ、トヨタ自動車、アリババなどが表示されます。
セクター別・銘柄別の配当利回り
FINVIZのヒートマップでは、銘柄ごとの配当利回りの情報を把握することも可能です。画面左側のメニューで「Dividend Yield」を選ぶと、下記のような画面になります。

※2022年4月4日時点のデータ
配当金を出している銘柄はグリーン、特に利回りの高い銘柄はさらに明るいグリーンで表示されます。上の画面では、IBM、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、AT&T(T)、フィリップモリス(PM)、エクソンモービル(XOM)などが明るいグリーンとなっており、高配当銘柄であることが分かります。
一方で配当を出していない銘柄はグレーで表示されます。上図の例では、Google、Amazon、テスラ、Adobe、メタ(FB)などが該当します。
ETFのヒートマップ
これまで解説してきたのは個別銘柄のヒートマップですが、ETFのヒートマップを表示させることもできます。画面左上の選択項目で「Exchange Trade Funds」をクリックすると、以下のようなETFのヒートマップに切り替わります。

※2022年4月5日時点のデータ
ETFのヒートマップについても、規模の大きい銘柄のボックスが大きく表示され、騰落率が緑と赤で表示されます。投資家の間で知名度の高い、以下の銘柄も含まれています。
・VTI
・IVV
・VOO
・SPY
・QQQ
・VGT
FINVIZのその他の機能にも注目
FIMVIZはヒートマップだけでなく、下記の機能も提供しています。
銘柄のスクリーニング
FINVIZはスクリーニング機能も有名で、さまざまな条件で銘柄を選定することができます。具体的には下記のような項目です。
【基本項目】
・時価総額
・配当利回り
・セクター
・国
・価格
【ファンダメンタル】
・過去5年の売上高の伸び
・過去5年のEPS成長
・株主資本利益率
・粗利益
・営業利益
・純利益率
【テクニカル】
・単純移動平均(20日・50日・100日)
・ボラティリティ
・RSI
・ギャップ
・ローソク足
上記以外にもさまざまなスクリーニング項目が用意されています。
セクター別のパフォーマンス
どのセクターのパフォーマンスが優れているのか、グラフで表示することで把握できます。1日間、1週間、1ヵ月で、3ヵ月、半年間、1年間の期間について、セクター別の相対的なパフォーマンスを見られます。
本稿執筆時点では、公益事業、エネルギー、素材などのパフォーマンスが優れているとの結果が出ています。一方でコミュニケーションサービスやテクノロジーに関しては、好調なセクターと比べるとやや不振な状況です。
FXの価格・チャート
通貨ペア別の価格やチャートをチェックすることができます。最初の画面では、米ドル/円、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドルといった主要な通貨ペアの価格が表示され、どれかをクリックすると価格チャートが表示されます。
暗号資産の価格・チャート
FXと同様、代表的な暗号資産の通貨ペアの価格をチェック可能です。具体的にはビットコイン/米ドル、イーサリアム/米ドル、リップル/ビットコインなどの通貨ペアが表示されています。また各コインがどの程度のパフォーマンスを出したのかを比較することも可能です。
ポートフォリオ
ポートフォリオを自分で組み、状況を確認することができます。ただしこの機能を利用するには、無料会員登録が必要です。メールアドレスとパスワードを入力し、無料で登録できます。
バックテスト
バックテストとは、売買ルール(システムトレード)の有効性がどの程度あるかを検証することです。過去データを使ってどの程度のパフォーマンスが得られたのかをシミュレーションをします。
FINVIZにおけるバックテストの機能は、有料のエリート会員のみとなっています。
エリート会員
エリート会員になると、バックテスト以外にも下記のような機能を利用できます。
・複数の株の相関関係をチェック
・より高度なチャート機能
・より高度なスクリーニング機能・データのエクスポート
・重要なイベントに関する電子メール通知
またエリート会員になるとFINVIZサイトにおける広告表示がなくなります。エリート会員になるには、月額24.96米ドル以上を支払う必要があります。
まとめ:ヒートマップツールを活用しよう
米国株投資でヒートマップを見るなら、FINVIZを活用するのがおすすめです。サイトにアクセスすれば誰でも無料で利用でき、特定の証券会社の口座を保有している必要はありません。
騰落率と時価総額がマップで分かりやすく表示されるので、時価総額の大きい企業やセクターの状況が一目でわかります。集計期間を変えることにより、短期の傾向・中長期の傾向ともに把握できます。配当利回りのヒートマップもあり、高配当銘柄がどれなのかも簡単に分かります。
FINVIZのヒートマップはS&P500の他、世界全体を表示させることもでき、米国以外の投資にも活用できます。
また手軽に分散投資をしたいのであればGOファンドがおすすめです。GOファンドは安定感があるだけでなくパフォーマンスも良いファンドになります。運用担当者の顔を見ることができ、ネットで少額から投資できるので投資初心者の方にもおすすめです。



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