米国株投資でインカムゲイン(資産の保有中に得られる利益)を重視する方も多いでしょう。株式投資でのインカムゲインは配当金であり、米国株は配当利回りが高いのも大きな特徴となっています。
この記事は米国株の配当利回りの目安を解説し、1万円以内で購入できる高配当銘柄も紹介します。配当利回りの高い優良企業に投資したい方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資関連の情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではありません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断で行っていただきますようお願いします。
米国株の配当利回りの目安
米国株の配当利回りは、一般的に1%~3%です。明確な基準はありませんが、配当利回りが3%以上あると高配当銘柄とみなされることが多く、日本株よりも高い水準です。
米国株の配当がなぜ日本株より高い傾向が見られるのか、その理由は株主への姿勢にあります。米国では株主への還元が重視されており、株主も利益が出ている以上は一定の配当を要求します。
利益が出ているのに配当が十分でないと、株主への還元が十分でない企業とみなされ、株式を売られてしまうリスクがあります。よって米国企業は株主への配当を多くしているのです。
ただしAmazonなどのように配当を出さない方針の企業もあります。また成長期の真っ只中にある企業も、利益は設備投資に回すため、配当を出さないケースが多く見られます
1万円以内で買える米国株の高配当銘柄
配当利回りが2%以上あり、日本円に換算して1万円程度で購入できる銘柄をいくつか紹介します。
※各銘柄の情報は2022年2月17日時点の情報です。
※最低投資金額は、1米ドル=115円で換算したものです。
AT&T
・ティッカー:T
・業種:通信・インターネット
・株価:23.76米ドル
・最低投資金額:約2,732円
・直近配当利回り:8.75%
アメリカの大手通信会社で、電話の発明者のグラハム・ベルにも由来のある企業です。長年にわたって連続増配を続けた銘柄株としても知られていましたが、残念ながら記録は途絶えました。
連続増配がなくなっても、依然として配当利回りは8%以上と非常に高い水準を維持しています。米国株のなかでも高配当の代表的な銘柄と言えるでしょう。ただし株価は中長期的に伸び悩みが続いている点に注意が必要です。
エクソン・モービル
・ティッカー:XOM
・業種:石油・エネルギー
・株価:78.23米ドル
・最低投資金額:約8,996円
・直近配当利回り:4.50%
エクソン・モービルは「スーパーメジャー」と呼ばれる国際的な石油会社の1つ。民間の石油会社としては世界最大規模であり、世界200カ国以上で事業をおこなっています。日本では吸収合併を経て、現在は「ENEOS」として活動しています。
石油産業は需要が底堅く、株主への配当も多い傾向が続いてきました。しかし今後は「脱炭素」がリスク要因として挙げられます。欧米を中心に脱炭素へシフトする動きは加速しており、石油産業にとっては業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
ギリアド・サイエンシズ
・ティッカー:GILD
・業種:医薬品
・株価:61.29米ドル
・最低投資金額:約7,048円
・直近配当利回り:4.76%
ギリアド・サイエンシズは大手のバイオ医薬品メーカーです。近年、同社が開発した医薬品で最も注目を集めたのは、新型コロナの治療薬として日本でも緊急使用許可が出た「レムデシビル」 でしょう。
その他にもインフルエンザ治療薬の「タミフル」があり、HIVやC型肝炎等の領域で高いシェアを獲得しています。 2020年の売上は246億ドルに及び、世界の上位20社に入る規模となっています。
バイオ医薬品とは従来の医薬品とは異なり、細胞融合、細胞培養、遺伝子組み換えといったテクノロジーを利用します。効果が高く副作用が少ないといったメリットがある一方、大量生産が難しい、コストが高いといった課題があります。
クラフト・ハインツ
・ティッカー:KHC
・業種:食品
・株価:37.79米ドル
・最低投資金額:約4,345円
・直近配当利回り:4.23%
2015年にバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルによってクラフトフーズグループとハインツが合併。世界5位の食品会社となり、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社が主導していたこともあり、大きなニュースになりました。
日本では「ハインツ日本株式会社」として活動し、デミグラスソースやホワイトソース、トマトケチャップ、パスタソース等を販売しています。 また森永乳業と技術提携をしており、同社を通じてクラフトブランドのチーズを販売しています。
同社の株価は中長期では低迷していますが、2020年3月に22.28ドルの底値を付けてからは徐々に回復しつつある傾向です。現在は40ドル前後で推移しています。
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス
・ティッカー:WBA
・業種:小売
・株価:46.81米ドル
・最低投資金額:約5,383円
・直近配当利回り:4.08%
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスとは、アメリカの最大規模のドラッグストアチェーンの持ち株会社です。米国国内では売上の75%以上がドラッグストア事業で占めています。
一般医薬品・処方箋の調合の他に、家庭用品・生鮮食品・パーソナルケア・ビューティーケアといった幅広いカテゴリーの商品を取り扱っています。 海外に関しては、英国、タイ、ノルウェー、アイルランド、オランダ、チリ、メキシコでドラッグストア事業を展開しています。
株価の推移をみると中長期的に下落が続きました。しかし新型コロナショックでは34ドル付近にまで下落したものの、現在の株価は45ドル前後とやや回復しています。
ゼネラル・ミルズ
・ティッカー:GIS
・業種:食品
・株価:67.79米ドル
・最低投資金額:約7,795円
・直近配当利回り:3.01%
ゼネラル・ミルズは米国の大手食品メーカー。シリアル・ヨーグルト・スナック・冷凍食品・インスタント食品などを手掛けています。
同社が立ち上げたブランドのうち、日本で最も有名なのは「ハーゲンダッツ」でしょう。高級アイスクリームとして、日本では現在も確固たる地位を築いているブランドです。
株価は新型コロナショックの頃の39ドル付近よりも大幅に回復し、現在は70ドル近くにまで上昇しています。コロナ禍によって在宅での食品需要が高まったことも要因の1つではないかと考えられます。
ファイザー
・ティッカー:PFE
・業種:医薬品
・株価:48.90米ドル
・最低投資金額:約5,623円
・直近配当利回り:3.27%
グローバルでトップクラスの医薬品メーカーです。1940年代に抗生物質「ペニシリン」の大量生産に成功して飛躍的に成長しました。
主力製品には、ドイツのビオンテック社と共同開発した新型コロナ用ワクチン、関節リウマチの治療薬のエンブレル、禁煙補助剤のチャンピックスなどがあります。
新型コロナ用ワクチンの開発成功も背景に、2021年に株価は大幅に上昇。2021年12月には、過去最高となる59.48ドルを記録しました。直近では下落傾向ですが、大幅上昇する前よりもまだ高い水準となっています。
コカ・コーラ
・ティッカー:KO
・業種:飲料
・株価:62.12米ドル
・最低投資金額:約7,143円
・配当利回り:2.83%
世界各国で親しまれている飲料メーカーで、コカ・コーラをはじめとした炭酸飲料から、コーヒー、紅茶、緑茶までさまざまな飲料カテゴリーで強力なブランドを保有しています。ウォーレン・バフェット氏が好み、長期保有している銘柄としても知られています。
新型コロナショックにより、2020年2月から3月にかけて、60.13ドルから38.30ドルにまで大幅に下落しました。しかしその後株価は徐々に回復し、2022年1月には過去最高の61.39ドルを記録。それ以降も大きな下落は見せておらず、生活必需品らしい堅調な動きとなっています。
米国株の配当利回りの調べ方
米国株の配当利回りは、さまざまな方法で調べることができます。最も簡単なのは各証券会社の取引ツールや情報ツールを使うことですが、まだ証券会社に口座がないためツールを利用できない方もいるでしょう。
その場合、Bloombergのサイトで調べる方法が便利です。まずはGoogleの検索画面で「銘柄名 bloomberg」と入力して検索してください。

上の画像は「ファイザー bloomberg」で検索した結果です。トップにBloombergのページへのリンクが出るのでクリックします。

Bloombergによる銘柄情報の一覧が表示されています。ここに「直近配当利回り(税込)」の欄があります。
米国株の配当金の受け取り方・注意点
ここからは、米国株の配当金を受け取る際の注意点について見ていきましょう。
利用している証券会社で配当金の受け取り方をチェックしよう
米国株の配当金の受け取り方法について、証券会社ごとに細かな違いがあります。たとえば楽天証券では総合証券口座に米ドルで入金されます。現地にて配当金受領を確認後に口座へ入金処理を開始するため、配当金支払開始日から入金完了までに、2-3日程度かかります。
SBI証券は楽天証券とほぼ同様の流れであり、現地での配当金支払開始日から入金完了まで、国内営業日で1~2日程度かかります。
米国・日本でどちらも課税される
配当金はそっくりそのまま受け取れるものではなく、課税対象となります。外国株式の場合は外国・日本でそれぞれ課税されるので、二重課税される仕組みです。
米国株も例外ではなく、米国の10%と日本の20.315%で合計30.315%が課税され、 課税分が差し引かれた金額が口座に入金されることになります。米国株の配当金は高いけれど、税金も高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
外国税額控除制度を利用しよう
二重課税を調整する仕組みとして、外国税額控除制度があります。外国で課税された税金を、日本での所得税から差し引く制度であり、間接的に税金を取り戻せる仕組みです。
外国税額控除制度を利用するには、確定申告をする必要があります。口座で総合課税・申告分離課税のどちらを選択しても利用できます。ただしNISA口座を利用した取引の場合、確定申告をすることができないので、外国税額控除制度も利用できません。
確定申告では「外国税額控除に関する明細書」 を提出することが必要です。証券会社から届く配当金に関する案内・支払い通知書を見ながら記入しましょう。
まとめ:米国株の配当利回りは日本株よりも高い
米国株の配当利回りは一般的に1%~3%で、日本株よりもやや高い水準です。アメリカにおける株主還元を重視する姿勢が大きく影響しています。米国株のなかで特に高配当とみなされるのは、3%以上の銘柄です。
1万円以内で購入できる高配当銘柄を8つ紹介しました。エネルギー・食品・医薬品・小売りなど景気に左右されにくく、需要が底堅い業種が多い傾向となっています。
高配当という点では一致していても、株価の推移は銘柄ごとにさまざまです。配当金を重視するなら長期的に保有することになるため、その点も考慮して銘柄を選びましょう。
米国株の配当金には二重課税がされる仕組みなので、確定申告をして外国税額控除制度を活用しましょう。米国で課税された分を、国内の所得税から控除することができます。
とはいえもう少しリターンを大きくして資産運用したい人もいるでしょう。リターンが欲しい人には「Goファンド」が最適です。
安定した運用パフォーマンスで年利15%以上を目標としています。つまり配当利回りの5倍近くになる計算です。
しかもどのような人が運用しているかも分かるため、安心して活用できるのも嬉しいポイントでしょう。
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