これまでの FOMCの動き
FOMCとは(Federal Open Market Commitee)連邦公開市場委員会のことで、世界の投資家はこれに注目を集めています。
FRBとは米連邦準備制度理事会で日本でいう中央銀行の事を指しますが、このFRBがコロナ禍影響の今後の金融政策の決定を行う重要な会議となるため、世界中の投資家が注目しています。
今回の会合では、そもそも11月に決定したテーパリングの予定を加速するかという点が大きな課題となっていました。
コロナ後のインフレーションが加速している事、目標インフレ率2%のところが、現状はそれの2倍以上となっているために、これ以上のインフレ加速に対応し切れるのかどうかというのが大きなポイントとなりました。
この急加速するインフレに対してこれ以上の加速を抑制するためにFRBの金融引き締めが必要になりますが、重要なのはそのタイミングです。そのタイミングが早すぎると株式市場に大きな影響を与え、市場のパニックを起こす可能性があります。また遅すぎた場合には、市場の混乱に加え景気停滞を起こしてしまう可能性があります。
そのため、FOMCでの今回決定は今後の経済を大きく左右する重大な決断をすることになります。
それでは、1月5日に発表されたFOMCの内容について見ていきましょう。
1月FOMCの発表内容
テーパリング加速
FOMCはテーパリング計画を加速することを発表しました。
2020年3月にコロナ対策による量的緩和政策を行なってきました。これは毎月米国債とMBS(不動産担保証券)を合わせて計1200億ドル分を買い入れをし、米経済へ大量の資金投資を行うというものです。
コロナショック後の経済回復も目処がつき見通しがついてきましたのでこれを正常化することが必要となります。以前の発表ではテーパリングの計画は6月までにゼロにするというものでしたが、今回新たに決定されたテーパリング計画は2022年までに毎月米国債を200億ドル、MBS(不動産担保証券)を100億ドル減らしていき、2022年3月にはゼロにするという予定を前倒しにする計画を発表しました。
利上げ時期が早まる
利上げの時期に関してはテーパリングが終了後すぐの3月、遅くても6月には開始されることが予測されます。そして段階的に2022年4回、2023年3回、2024年2回と計9回に分けて利上げがされることが予測されています。
この利上げの時期は株式市場に大きな影響を与える可能性があります。実際2015年に大なわれた利上げに対して株価は最大で14.5%、数ヶ月に渡り暴落しました。ただし、長期で暴落が継続することは考えにくいですし、そうならない為に段階的に計画をしていますので、金利上昇が必ずしも株価暴落につながるという訳ではありません。
むしろ景気が回復に向かっていることを受けて金融正常化に向けての計画ですので、経済面から見ると2022年以降は明るい見通しであるとも言えます。
ただし、2023年も引き続き、インフレ率目標2%へ引き下がらないようであれば、景気停滞の可能性が考えられます。今回のFOMCでは以前までインフレは一時的なものだと発言していたパウエル議長ですが、それが訂正され、インフレの定着リスクがあるという表現がされていました。
そのため投資家は今後のインフレ率、失業率、また金利引き上げ回数などの点に注目していく必要があるでしょう。
QT(量的引き締め)開始時期
量的引き締めとは保有国債の規模の縮小のことを指します。具体的には量的緩和で銀行から買い入れた債券を今までは再投資に回していましたが、それを現金化することで総資産のバランスシートの縮小を計ります。
今回のFOMCではQT時期については明言されていませんが、おそらく2022年後半時期の政策金利1%の段階で行われるのではないかと予測されます。
この量的引き締めは株式市場に大きな影響を与え、株価暴落の可能性が大きくなります。もし2022年後半にもにQTが開始された場合、開始時期から2023年にかけて株価低迷時期に入る可能性があります。ただし、これも長期投資であれば、金融政策の正常化による一時的なものですので、経済回復に向かっているということが重要なポイントになります。
逆にこの株価の低迷時期は投資家にとっては株価の割安になりチャンスと捉えることもできます。例えばQTが開始されると、FRBによる再投資の圧力が減少し長期金利が上昇します。ハイテク株やグロース株などの高PER株ほど影響を受けやすく暴落しやすい時期となることが予測できますので、影響の少ないエネルギー株ETFなどのバリュー株銘柄や金融株を買い増しするのも良いでしょう。
2022年は厳しい市場
株式市場は米国の金利政策に最も影響を受けやすく、今回のFOMCの発表によれば、テーパリングの加速後すぐに利上げ、そしてQTが開始され長期金利の上昇など多くのマイナス要因が行われます。それにより行われるタイミング毎に株価の下落など市場に影響が出ることになるでしょう。
さらには新たに出てきたオミクロンショックがどのように市場に影響を与えるのか、またそれに対する金融政策による影響に注目していく必要があるでしょう。
まとめ:FRBの今後の方針はインフレの動向次第
今回は1月5日に発表されたFOMCについて詳しく解説しました。
テーパリングや利上げ時期の前倒しなど、FRBはインフレの加速を止めるために金融引き締めの方向に舵を切ろうとしていることがわかりました。
このようなFRBの金融引き締め戦略は、株式市場に株価の下落という形で影響を与える可能性が高いでしょう。
またコロナウイルスの影響もあることからも、2022年の株式相場は投資家にとっては厳しくなると考えられます。
次回のFOMCでFRBがどのような発表をするのか、インフレの動向に注目しながら警戒していく必要があります。
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