米国株は高配当の銘柄も多く、配当を重視する長期投資家にも人気です。資産形成や老後の生活のために、これから高配当銘柄に投資したい方も多いでしょう。
そこでこの記事では、米国株の高配当銘柄の概要や、具体的な銘柄を8つ解説します。高配当銘柄のメリット・注意点にも触れるので、両方を把握したうえで投資に臨んでください。
※この記事は投資の情報を提供することを目的としており、特定の銘柄への投資を推奨したり、利益を保障したりするものではありません。投資はご自身の責任と判断で行っていただきますよう、お願いいたします。
米国株の高配当銘柄の概要
米国株には高い配当を受け取れる銘柄も多いといわれています。高配当銘柄の概要について見ていきましょう。
配当利回りの高い銘柄のこと
高配当銘柄とは、配当利回りが高い銘柄のことを意味します。配当利回りは、株価に対していくらの配当を受け取れるのかを示す指標です。たとえば株価が10000円で配当が300円の場合、配当利回りは3.0%です。
高配当銘柄は、長期的にも利益を受け取りやすいことから人気を集めています。ただし高配当株だからといって、必ずしも高い利益が得られるとは限らないことに注意が必要です。
株価が下落すると、高配当株でも配当利回りは低くなります。場合によっては、配当でカバーしきれない損失になることもあります。高配当銘柄だからといって、利益が保障されているわけではありません。
具体的な基準は配当利回りが3%以上または4%以上
高配当銘柄とみなされる配当利回りの基準は、一般的に3%以上とされることが多いです。米国株は日本株よりも配当利回りが高い傾向があるため、4%以上の基準を用いるのも良いでしょう。
各証券会社の会員サイトやアプリなどでは、配当利回りで銘柄を検索する機能を利用できます。銘柄探しのヒントとして活用するのも良いでしょう。
米国株の高配当銘柄のおすすめ8選
ここからは米国株の中でも、高配当であることで有名な銘柄を8つ紹介します。
銘柄名 | ティッカー | 直近の配当利回り | 株価(米ドル) | 業種 |
アッヴィ | ABBV | 4.24% | 133.09 | 医薬品 |
エクソンモービル | XOM | 5.77% | 61.02 | エネルギー |
アルトリアグループ | MO | 7.71% | 46.70 | たばこ・葉巻 |
AT&T | T | 8.36% | 24.87 | 通信 |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 4.86% | 52.86 | 通信 |
IBM | IBM | 5.02% | 130.63 | コンピューター・ソリューション |
シェブロン | CVX | 4.60% | 116.41 | エネルギー |
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ | BTI | 8.05% | 37.07 | たばこ・葉巻 |
※株価は2021年12月23日の終値
上記はいずれも直近の配当利回りが4%を超えている、高配当銘柄です。株価が100ドル未満で、日本円に換算して1万円未満で購入できる銘柄もあります。
それぞれの銘柄について簡単に紹介します。
アッヴィ
バイオテクノロジーに強みを持つバイオ医薬品メーカーです。具体的な領域は自己免疫疾患やがんなど。日本でも事業を展開しています。
新型コロナショックからの回復は早く、2021年の12月には2018年の高値を上回る値を記録しました。
エクソンモービル
石油や天然ガスの事業などを手掛ける、世界的な大手エネルギー企業です。前身の「スタンダードオイル」はジョン・ロック・フェラーが設立したことでも知られています。
高配当は魅力的なものの、ESGやSDG’sの観点から、石油産業の風当たりはやや強くなっています。今後の状況にも注意する必要があります。
アルトリアグループ
紙巻たばこや葉巻などを取り扱う世界的なたばこメーカーの持株会社です。ワイナリーの事業も手掛けています。
たばこ産業も石油産業と同じく、先進国ではやや逆風が吹いている業界です。
AT&T
世界を代表する大手通信企業の1つで、電話の発明者であるグラハム・ベルも由来にかかわっています。買収したタイム・ワーナーのメディア運営事業でも知られています。
直近の配当利回りが8%を超えており、米国株のなかでも高配当銘柄の1つです。ただし株価は長期トレンドで下落傾向です。
ベライゾン・コミュニケーションズ
AT&Tと並ぶ通信企業で、特にモバイルネットワークに強みがあります。220か国以上でワイヤレスサービスを提供しています。
5G・セキュリティ・DX(デジタルトランスフォーメーション)など、今後のハイテク産業で中心となる分野にも注力しています。
IBM
老舗のハイテク企業で、コンピュータ関連サービスや、コンサルティングサービスを展開しています。AIや量子コンピュータなど、将来が期待される分野にも注力していく方針です。
長期的なトレンドでは株価がやや低迷していますが、5%の配当利回りを実現しています。
シェブロン
シェブロンもエクソンモービルと同じく、高配当のエネルギー企業として有名です。石油や天然ガスの他、代替エネルギーも重視する経営方針です。
新型コロナショックでは株価が半分近くに下落しましたが、直近では2019年とほぼ同じ水準まで戻しています。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
1902年に創業し、100年以上の実績のあるたばこメーカーです。代表的な銘柄はケント、キャメル、ラッキーストライクなど。
新興国での需要増からたばこメーカーも高配当の傾向ですが、ESGの観点では今後には注意が必要です。
連続増配を続けている高配当株
銘柄名 | ティッカー | 直近の配当利回り | 増配年数 | 株価 | 業種・概要 |
ノースウェスト・ナチュラル・ガス | NWN | 4.00% | 65 | 48.28 | エネルギー |
スリーエム | MMM | 3.38% | 63 | 174.97 | 化学 |
※株価は2021年12月23日の終値
米国株には、60年以上にも渡って増配を続けている銘柄もあります。なかでも配当利回りが高い2社を紹介します。
ノースウェスト・ナチュラル・ガス
オレゴン州・カリフォルニア州といった西海岸エリアで天然ガスを提供している会社です。1910年に設立され、100年を超える歴史があります。
インフラ企業であり、売上に大きな変動はなく、安定した銘柄と言えます。ただし株価は新型コロナショックの下落からまだ戻せていない状況が続いています。
スリーエム
スリーエムは「3M」の表記でも知られている、総合化学メーカーです。ラベルやテープといった消費者に身近な製品も販売しているため、日本での知名度も高い銘柄です。
株価は新型コロナショックからは回復したものの、2019年以前の水準にはまだ届いていません。
高配当の米国株でポートフォリオを組んでみよう
米国株の高配当銘柄で投資のポートフォリオを組むには、どう考えると良いのかについて解説します。
配当月の違う銘柄を組み合わせる
米国株の配当は年に2回~4回行われるのが一般的ですが、実施する月は銘柄によって違います。配当月の異なる銘柄に投資すれば、毎月配当金を受け取ることが可能です。
たとえば老後に米国株を保有していれば、年金に加えて米国株の配当金も毎月入ってくるので、老後の生活の支えにすることもできます。
異なるセクター(業種・業界)の銘柄を組み合わせる
投資の基本ルールの1つが分散投資です。米国株で投資をするなら、セクターの違う銘柄に分散して投資資金を振り分けるようにしてください。
一般的に食品・小売店・通信・電力など、生活必需品やインフラに関連する銘柄は、景気の影響を受けにくく、不況のときも底堅い傾向があります。一方で急激に業績が伸びることはまれなので、株価が高騰する可能性は低いと言えます。
逆に景気の影響を受けやすいのは精密機器、鉄鋼、自動車、金融などです。「景気敏感株」と呼ばれることもあります。
このように、性質の異なるセクターの銘柄を組み合わせることで、リスクを分散させることができます。
5万円以下で購入できるポートフォリオの例
銘柄名 | 配当月[作成者13] | セクター | 最低投資額 |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 2月・5月・8月・11月 | 通信 | 6,026円 |
IBM | 3月・6月・9月・12月 | コンピューター・ソリューション | 14,891円 |
アルトリアグループ | 1月・4月・7月・10月 | 医薬品 | 5,323円 |
エクソンモービル | 3月・6月・9月・12月 | エネルギー | 6,956円 |
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ | 2月・5月・8月・11月 | たばこ | 4,225円 |
※最低投資金額は2021年12月23日の株価を基に、1米ドル=114円で計算
ベライゾン、IBM、アルトリア・エクソンモービル、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの5銘柄を組み合わせました。セクターを分け、毎月配当が受け取れる組み合わせです。
もっとセクターのバリエーションを増やしたいと考えるなら、食品・小売りといったその他のセクターを加えるのも良いかもしれません。比較的高配当な銘柄として、コカ・コーラ(KO)やゼネラルミルズ(GIS)などが挙げられます。
ETFや投資信託を使うのも1つの手
自分でポートフォリオを組むのは難しい、もっとたくさんの銘柄に効率的に投資したいという方は、米国の株価指数に連動するETFや投資信託を使うのも1つの手です。
たとえばS&P500であればアメリカの時価総額の上位500社に投資ができますので、最初の一歩としてはおすすめです。ただし、各指数は高配当株以外の銘柄も数多く含まれており、たとえばGoogle・Amazonなどは無配当です。
最初はETFや投資信託で投資をしながら米国株について学び、徐々に個別銘柄投資も始めるのが良いでしょう。
米国の高配当株に投資をするメリット・注意点
高配当株は、以下のメリット・デメリットの両方をおさえたうえで投資してください。
配当金生活を送れる可能性がある
米国の高配当株は年に4回配当を実施するのが通常のため、銘柄をうまく組み合わせると毎月配当金を受け取れます。たとえば1億円保有していれば、毎年400万円~500万円の配当を受け取ることも可能です(税金は考慮しません)。
高配当株を多く保有していれば、毎月の配当金だけでもある程度の生活が成り立つかもしれません。
業績が安定している銘柄も多い
エネルギー・通信など需要が底堅く、業績が安定している企業が多いのもメリットです。少しぐらいの景気変動で需要が変動することはなく、安定的な経営が見込める銘柄です。
業績が安定しているほど、配当を受け取れる確率も高く、配当利回りも一定の水準を期待できます。
株価の急激な高騰は期待できない
業績が安定している分、需要が急激に拡大したり画期的な商品・サービスが誕生したりすることは少ないため、株価の高騰はあまり期待できません。
安定的な収益を狙う銘柄として投資をするべきでしょう。
短期で成果を出すのは難しい
高配当株への投資は、数か月といった短期間で成果を目指すスタイルではありません。数年間、場合によっては数十年といった単位で、長期的に何回も配当を獲得する投資です。
短期間で大きな利益を獲得するなら、高配当株よりもグロース株のほうが適しています。
減配・配当見送りに注意すること
高配当銘柄はリスクのない投資ではありません。業績悪化で減配や配当見送りになるリスクはあります。その結果、株価が低迷するケースもあります。
配当が多い銘柄の株価が下がると、見かけ上の配当利回りが高くなり、判断を間違えてしまうことも。購入する前も購入した後も、株価や業績が堅調かどうかをチェックしましょう。
まとめ
米国株の高配当株の概要と、具体的な銘柄8つを紹介しました。高配当株は業績が安定している企業も多く、長期投資に向いている銘柄です。投資する際は、配当月やセクターなどを考慮してポートフォリオを組んでみましょう。
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