今後も安泰か?ゲーム開発プラットフォーム『Unity』の今後を考えてみよう

Unity【U】は「Among Us」や「PokémonGO」、「Cuphead」。これら世界的に有名なゲームは実はある1つの会社のプラットフォームを利用して作成されているのです。その名前はUnity。なんとモバイルゲームの70%以上が、当社のプラットフォームを利用して作成されていると推定されているほどだとも言われています。

当社サービスは映画制作に例えるならば制作に必要なカメラ、照明、マイクなど、よりゲームをより芸術的に、印象的に仕上げるためのツールボックスを提供している縁の下の力持ちと考えていただければ分かりやすいかもしれません。今回はそんな仮想世界で大舞台回しを見せる3D開発プラットフォーム提供企業、Unity Software Inc.について現状から注目のトピック、将来性まで紹介していきたいと思います。

目次
1. 会社概要
2. 事業の特徴
3. 会社規模
4. 業績
5. 財務分析
6. トピック
7. 今後の業績見通し
8. まとめ

1.会社概要

Unity Software Inc.(証券コード=U)は「より多くのクリエイターが活躍する場所を提供することでより良い世界をつくる」ことをミッションとした本社をカリフォルニア州サンフランシスコに置くリアルタイム3D開発プラットフォーム提供企業。現在、北米や北欧、欧州、アジアなど幅広く展開。2020年9月ニューヨーク証券市場に上場。

2.事業の特徴

当社は先述の通り北米から欧州、アジア主要国に向けてスマートフォンやパソコンなど様々なデバイス向け2D及び3DのAR及びVRコンテンツを作成、実行、収益化するためのソフトウェアソリューションを提供しており、当社サービスを利用すれば誰もが簡単にハイクオリティなゲームコンテンツを作成出来る点が特徴となっています。

現在、当社で構築されたアプリは月間50億ダウンロード、1か月あたりDL数上位1,000アプリ中71%が当社プラットフォームで作成、そしてそれらアプリを月間25億人のアクティブユーザーがプレイしているなど世界のネットゲーム市場において当社は強い影響力があると言えます。

[主要提供サービス]

サービス名料金概要
Unity Platform(Personal)0ドル利用料金無料のWindows、Mac、Linuxで利用可能な3D開発プラットフォーム。なお利用者制限として過去12か月の収益または資金調達が10万ドル未満の者に限定されている。
Unity Plus438.9ドル/年Personalにプログラム立ち上げ画面カスタマイズや他サービス連携(Slack等)での問題通知、ユーザーから得た行動データ分析などより高度なサービス。
Unity Pro 1,980ドル/年Plusに25GBかつ3名迄のデータ共有、50GB迄のデータ容量追加、技術サポートや優先質問回答などサービス拡大やサポート面がより手厚くなったサービス。
Industrial Collection2,52ドル/年3D製品視覚化ソフトウェアに特化したプラン。AR及びVRやCADデータ等を利用する個人もしくは企業向けサービス。
Unity Enterprise4,000ドル/年 大規模組織向けのサービス。機能としては基本的にProと同様だが、20名迄のアクセス権限とより収益周辺機能に特化した業務用機能が利用可能なサービス。
Unity Core Support27,720ドル/年回答までの時間が保証された経験豊富なUnityエンジニアによるサポートサービス。

下記を見ると分かるのですが、当社の収益を大きく伸ばしている要因はOperate Solutionsサービスにあると言えます。このサービスはいわゆる収益分配製品という開発者がデジタル広告やアプリ内購入を通じてコン​​テンツを収益化していき、ノウハウ豊富な当社がそれらのサポートをしていくことでその収益を拡大させることで当社も収益の一部を得ることが出来る仕組みです。つまりクライアントと共に成長することが出来る仕組みなのです。

Unity「Shareholder Letter Q420」

https://investors.unity.com/news/news-details/2021/Unity-Announces-Second-Quarter-2021-Financial-Results/default.aspx

これだけ見るとゲーム開発プラットフォーム提供会社ですが、近年当社に大きな変革の時が訪れています。その中でも直近ですが当社は21年2Qに、製造から小売、セキュリティ業界向けにAIトレーニングを目的としたUnity Computer Vision Datasetsの提供を発表しました。更に主要なロケーションデータおよびテクノロジープラットフォーム提供会社であるHERE Technologiesとの共同契約で当社は自動車から建築、航空宇宙まで転用可能な3DCGサービス提供会社に進化させました。この勢いはスマートフォンを始めPC等デバイス向けリアルタイム2Dおよび3Dコンテンツに対する堅調な需要から今後も続いていくのではないでしょうか。

3.事業規模

時価総額:3兆8,830億円(8月23日時点) ※1ドル=109.7円換算(同日終値ベース)
純資産:2,159億円 (2021年6月時点)
資本金:20万円(2020年12月時点)
従業員:4,001人(2021年6月時点)

4.業績

(単位:千ドル)

売上高
(Gross profit)
営業利益
(Operating Income)
経常利益
(Net Income Before Taxes)
当期純
利益
(Net Income After Taxes)
1株益
(EPS)
1株配
(DPS)
予想
売上Revenue/Forecast
予想EPS
(Forecast EPS)
20年3Q決算200,780▲141,680▲144,320▲144,720 ▲0.09 -(無配) 186,850▲0.11
20年4Q決算220,340 ▲80,850 ▲84,020 ▲83,500 ▲0.1 – 204,150▲0.12
21年1Q決算234,770 ▲110,900 ▲109,450 ▲107,460 ▲0.1 – 217,080▲0.14
21年2Q決算273,560 ▲149,180▲149,600 ▲148,340 ▲0.02 – 242,340▲0.14

5.財務分析

(1)成長性

市場調査によると、モバイルゲーム市場は2020年に約10兆円と評価され、2020年から2030年にかけて11%のCAGRで成長し、2030年までに30兆円に達すると予測されています。モバイルゲーム市場はすでにTVゲームとPCゲームの市場を合わせたものよりも大きく、2020年の世界のビデオゲーム収益1,730億ドルの57%近くを占めています。この成長要因としては、5Gの普及に伴うVR及びAR市場の拡大及び世界的eスポーツの流行等が考えられます。こうした潮流の中で当社は先述の通り業界の中で圧倒的なプレゼンスを示しています。

加えて当社技術はモバイルゲームのみならず広く製造業にも応用可能です。例えば、建築メーカーにおいては建築予定の建物を3Dシミュレーションを仮作成することでモデルの概念やアイデアを可視化したり、自動車メーカーではゲームエンジンを使用した新車両の設計や営業を行ったり、香港の空港では顧客量のシミュレーションを行っていたりと、その汎用性は高いと言えます。

昨年、当社で作成または運用されたコンテンツに従事する月間平均27億人のアクティブユーザーは、2019年から63%増加しました。また構築されたアプリケーションは月間平均50億ダウンロードで昨年比41%増加するなど安定的な成長を見せています。

以上より当社の成長性は非常に高いと考えられます。

(2)収益性

直近12ヶ月の当社の資本⽣産性はROE-36.99%、ROIC-16.1%、ROA-13.51%、WACC8%と収益性に関しては業界内で比較しても非常に低い域にあると言えます。

しかし当社の非GAAP純損失は、2019年の1億1,300万ドルから、2020年には6,600万ドル、つまり1株あたり0.39ドルに縮小しました。アナリストは、今年も損失を1株あたり0.25ドルに縮小すると予想しています。そして非GAAPベース粗利益率は2020年に前年比79%で安定していましたが、非GAAPベース営業利益率は-17%から-7%に上昇しました。そして今年は5%〜6%のマイナスの非GAAP営業利益を計上する予定です。

これらより、当社の今後の収益性は現在は低いものの、今後の収益性改善に期待出来る銘柄であると考えられます。 

(3)安全性

2021年6月の貸借対照表によると、当社は短期か長期かについては記載は不明ですが昨年比約60億円増の759億円の負債を抱えています。しかし、それを相殺する1,100億円の現金と644億円の短期資産を有しているので、985億円のNet cashがあることになります。

更に流動性の観点から負債759億円に対して1,100億円の現金と374億円相当の受取債権を有しているため、流動資産は負債総額よりほう715億円多いことになります。この短期的な流動性は、当社が債務を容易に返済できることを示しています。

以上2点より当社の安全性は高いと考えられます。 

6.トピック:Metaverse

耳馴染み無い「メタバース」という言葉ですが、これは元々SF小説が由来の個々のテクノロジープラットフォームを超越した広大なオンライン世界のことで、そのオフラインと同じような感覚の没入感が特徴です。

当社はコンテンツの作成を容易にし、作成者と消費者をつなぐことで、「メタバースをサポートし、形作る」ことを計画しているとJohn Riccitiello CEOは発言しています。先述の自動車から建築、航空宇宙などの業界に加え、今後は観光な小売など物販に伴う仮想世界での経済活動が本格化する日も近いかもしれません。メタバース分野に力を入れている当社はその際に覇権を握る企業になるかもしれず、今後特に注目していきたいワードです。

7.今後の業績予想

 ❶ガイダンス内容抜粋

当社は2021年8月に2Q決算を発表しました。その中で当社は先述のゲーム業界とそれ以外の業界においてもその勢いを増している現状から当初の通年ガイダンスを以下の通り引き上げています。

Unity「Unity Announces Second Quarter 2021 Financial Results」

https://investors.unity.com/news/news-details/2021/Unity-Announces-Second-Quarter-2021-Financial-Results/default.aspx

このような見解もありつつ、来期2021年3Qの売上市場アナリストコンセンサスはRevenueが242.5~275百万ドル、2021年通期では1,010~1,070百万ドル。EPS については来期が-0.15、通期で-0.14となっています。

 ❷アナリスト予測(目標株価)

・Kash Rangan (Goldman Sachs) 135ドル [買い]

・Tom Roderick (Stifel Nicolaus) 135ドル [買い]

・Brent A. Bracelin (Piper Sandler) 152ドル [買い]

・Franco Granda (DA Davidson) 150ドル [買い]

・Christopher Merwin (Goldman Sachs) 126ドル [買い]

・Gal Munda (Berenberg) 105ドル [買い]

・Michael Pachter (Wedbush) 125ドル [買い]

・Yaoxian Chew (Credit Suisse) 170ドル [買い]

・Andrew Uerkwitz (Oppenheimer) 103ドル [買い]

・Matthew Cost (Morgan Stanley) 115ドル [中立]

・Mario Lu (Barclays) 90ドル [中立]

WALL STREET ZEN「Unity Software Inc Stock Forecast, Predictions & Price Target」

https://www.wallstreetzen.com/stocks/us/nyse/u/stock-forecast

8.参考リンク

・Unity HP
https://unity.com/
・Unity「Unity Announces Second Quarter 2021 Financial Results」 https://investors.unity.com/news/news-details/2021/Unity-Announces-Second-Quarter-2021-Financial-Results/default.aspx
・Unity「Unity Software Inc. NYSE:U FQ2 2021 Earnings Call Transcripts」
https://s26.q4cdn.com/977690160/files/doc_financials/2021/q2/Unity-Software-Inc.,-Q2-2021-Earnings-Call,-Aug-10,-2021.pdf
・Unity「05/07/2021 Annual Report」
https://s26.q4cdn.com/977690160/files/doc_financials/2020/ar/Unity-Annual-Report.pdf
・Unity「​​Unity-Proxy-Statement-Filed-4.28.2021」
https://s26.q4cdn.com/977690160/files/doc_financials/2020/ar/Unity-Proxy-Statement-Filed-4.28.2021.pdf
・Unity「February 4, 2021 Shareholder Letter」
https://s26.q4cdn.com/977690160/files/doc_financials/2020/q4/Shareholder-Letter-Q420.pdf
・Investing.com「Unity Software Inc (U)」
https://www.investing.com/equities/unity-software-inc
・The Wall Street Journal「Facebook, Roblox See the ‘Metaverse’ as Key to the Internet’s Next Phase」
https://www.wsj.com/articles/roblox-facebook-see-the-metaverse-as-key-to-the-internets-next-phase-11629286200
・WALL STREET ZEN「Unity Software Inc Stock Forecast, Predictions & Price Target」  
https://www.wallstreetzen.com/stocks/us/nyse/u/stock-forecast
・RESEARCH AND MARKETS「Mobile Gaming – Thematic Research」 
https://www.researchandmarkets.com/reports/5351335/mobile-gaming-thematic-research?utm_source=BW&utm_medium=Pre ssRelease&utm_code=z2hvr9&utm_campaign=1554510+-+Global+Mobile+Gaming+Market+Report+202%3a+Worth+%2498+Billion+in+2020%2c+the+Mobile+Gaming+Market+is+Forecast+to+Grow+to+%24272+Billion+by+2030&utm_exec=cari18prd
・The Information「Unity CEO Predicts AR-VR Headsets Will Be as Common as Game Consoles by 2030」
https://www.theinformation.com/articles/unity-ceo-predicts-ar-vr-headsets-will-be-as-common-as-game-consoles-by-2030

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