次世代の水素エコノミーを目指すプラグパワーソリューション

プラグパワー

グリーン水素の業界リーダーとも言われるプラグパワーの21年第1四半期の発表と、20年12月期財務諸表の過年度遡及修正の提出がされました。株価が年初から急激に上昇している背景には何があるのでしょうか。まもなく21年Q2の決算となりますが、プラグパワーの業績についてレポートします。

1. 会社概要

プラグパワー(NASDAQ: PLUG)は、米国ニューヨーク州ラッサムに本社を置く米国大手の水素燃料電池(HFC)ターンキーソリューションのリーディングプロバイダー。高度なテクノロジーによる150件の特許技術を取得し、燃料電池システムの設計・開発・製造・販売と燃料の運搬や貯蔵システムを一貫して供給する。顧客は、電力、エネルギー、自動車、輸送業界を中心に、欧米、アジアとグローバルなパートナー企業との資本提携を通じて進出し、グリーン水素のシェア拡大を急ぐ。

<沿革>

1997年 米国デトロイトを拠点とするエネルギー会社DTEエナジーと米国計測機器メーカーメカニカル・テクノロジーの合弁事業として設立

1999年10月29日 NASDAQ上場

1999年 最初の定置用燃料電池システムを出荷

2000年 欧州市場に参入

2002年 米海軍が9つの燃料電池システムを契約 カリフォルニアでのプラグパワー燃料電池の最初の販売

2007年 電動フォークリフト用のプロトン交換膜(PEM)燃料電池パワーユニットの開発会社Cellexを買収。燃料電池と水素燃料システムの開発会社GeneralHydrogenを買収 

2009年 インド全土TataTeleservicesセルタワーに電力を供給

2014年 GenKeyソリューションを初めて導入。GenDrive製品に導入可能な最先端の空冷スタックテクノロジーを備えるReliOnを買収

2017年 EV用に設計されたProGen燃料電池エンジンの最初の出荷。メリーランド州キャピトルハイツのUSPSフォークリフトによるGenDriveシステムの採用を発表 

2018年 MEA主要サプライヤーAmerican Fuel Cellを買収

2019年 カナダの燃料電池システム開発会社EnergyOrを買収

2020年 テネシー州チャールストンに民間企業最大の液体水素プラントを保有する液体水素のメーカーユナイテッド・ ハイドロジェンを買収。航空宇宙産業などに電解槽を展開するギナーELXを買収

 2. 事業の特徴

プラグパワーは水素燃料電池技術(HFC)を最初に商業化した企業であり、マテハンスペースにおける水素燃料電池の現在の市場シェアは95%、e-モビリティ用に世界初4万台以上の燃料電池システムの導入や北米全域に水素ハイウェイを建設・運用しているグリーン水素技術のリーディングカンパニー。

プラグパワーの特徴は、米国内外の企業買収により、燃料電池に関する垂直統合されたビジネス・モデルを構築し、自社でのサプライチェーンを展開、電力、エネルギー、輸送業界のパラダイムシフトを加速するために、最先端の電気分解技術や液化能力などの水素燃料電池システムの開発と水素の輸送や貯蔵などの供給システムまでを連携強化し、顧客のインフラクチャに合わせた燃料電池電源への移行をする包括的なソリューションにあります。同社は現在、そのノウハウ、モジュール式製品アーキテクチャ、および基盤となる顧客を活用して、ゼロエミッションのオンロード車、ロボット工学、データセンターなど、他の主要市場への急速な拡大を図っています。気候変動とエネルギー安全保障の取り組みにより環境に配慮したエネルギーを提供し、生産性や効率性の向上、高速燃料供給、運用コスト削減など、コスト競争力をエンドユーザーに還元し、価値提供を行っています。

事業内容

GenDriveマテリアル・ハンドリング用電気自動車(電気フォークリフトや無人搬送車)に電力供給する水素燃料電池システムの提供
GenSure低電力と高電圧のバックアップ用水素燃料電池電力ソリューションの提供 
ProGen電気自動車用の燃料電池エンジン技術の提供 軽量、省スペース、低コスト 
GenFuel水素を活用した燃料供給システム、生成、貯蔵、分配システム、高速屋外燃料供給の提供
GenKeyフォークリフト用の燃料電池、バックアップ用固定式燃料電池、水素燃料補給用のインフラ、燃料供給を提供  現在、アマゾン、BMW、サザンカンパニー、カルフール、ウォルマートなどの物流工場ではプラグパワーの燃料電池で動くフォークリフトが活用されています。

3. 会社総額

時価総額:184.59億ドル※2

発行済株式数:568,317,504株※2

純資産:57.86241億ドル※   

資本金:49.19063億ドル※ 

従業員:1,285人(米国:1,253人 米国外:32人)※3

4. 業績

FY 21-Q1 

総収入:7,200万ドル(前年比:+76% 3.120万ドル増)

総取扱高:7,370万ドル(前年比:+71% 3,070万ドル増)

FY21-Q1は、主力である燃料電池システムの販売と関連インフラ事業において、約200万ドルの加重な貨物コストが生じましたが、売上高は前年同期比より2630万ドル増、総利益率が38%となり、安定的な収益源となりました。売上構成比率は、燃料電池システムの販売と関連インフラ 65.00%、燃料電池システムおよび関連インフラに対するサービス8.40%、電力購入契約10.88%、顧客に燃料供給15.46%、その他0.26%。

燃料関連は、過去四半期の金利上昇による産業ガス間の移行コスト高により、売上利益率がマイナスとなりました。20年末から21年第1四半期に波及した不可抗力事象および21年2月のテキサス州の凍結による影響により、水素価格が歴史的高水準に達し、水素供給が業績に悪影響を及ぼしましたが、21年後半と22年の燃料セグメントマージンの改善に寄与するとのことです。営業利益の赤字は、研究開発費の974万ドル、販売管理費の2,558万ドルが要因であり、前年同期比で51%増、57%増と収益を圧迫しました。

20年5月14日にSECに提出した20年12月期のForm10-Kで財務諸表の過年度遡及修正を提出。20年は、総収入がプラス影響となりましたが、EPSは、3,500万ドルの損失発生引当金と640万ドルの長期性資産の減損に関連する一時的な非現金費用により、₋0.10の影響となりました。経営陣は、20年の損失は、損失発生引当金と資産の減損に関連する現金以外の費用として4,140万ドルとしています。CEOのアンディ・マーシュ最高経営責任者によると、内部統制に重大な弱点があることを確認し、今後は是正措置に取り組む姿勢を示しながらも、「今回の修正は収益に重大な影響を与えるものではなく、手元資金額や事業運営、既存または将来の会社の商取引には影響はない」とのことです。

修正内容

決算年度2020年2019年2018年
総収入(百万ドル)7.2₋0.3₋0.4
EPS₋0.10₋0.03

5. 財務分析

 6. 主なトピック

今期は、ルノー、SKグループ、アシオナとのグローバルな戦略的パートナーシップを提携し、欧州、アジア市場に向けてシェアの獲得と販路の基盤を築きました。更に、新たな航空分野への投資も始まり、グローバルなグリーン水素供給を実現しています。

▶フランスのルノー(Euronext:RNO)

燃料電池J合弁会社(JV)HYVIAを設立。2030年までに50万台を見込む欧州の燃料電池軽商用車(LCV)の30%の市場シェアを目標。

▶韓国第2位財閥グループのSKグループ

資本・業務提携の発表をし、約10%のシェアで16億ドルの出資を受け、22年までに韓国で合弁会社を設立し、アジア市場での水素エネルギーの代替加速を目指す。

▶スペイン財閥グループのアシオナ(BMAD:ANA)

マドリッドに本社を置く合弁会社(JV)を設立し、水素プラットフォームの構築を強化するパートナーシップを21年後半までに完了予定。JVは、ブロックチェーンプラットフォーム「GreenH2Chain」を利用して、供給する水素の再生可能エネルギー起源保証を行い、2030年までにスペインとポルトガルのグリーン水素事業の20%の市場シェアを目標。アクシオナ社は、再生可能エネルギーを中心とした再生インフラソリューションを開発・運営し、世界の700万世帯以上の電力に相当する10.5GWのクリーンエネルギーを世界16カ国に供給。

▶カナダの再生可能資産投資事業会社ブルックフィールド・リニューアブル(BEP.UN:TSE)

再生可能プロジェクトの開発会社Apex CleanEnergy、ニューヨーク州電力公社NYPAなどを含む複数の戦略的パートナーとグリーン水素関連の契約を締結。

▶水素航空のパイオニアであるユニバーサル・ハイドロジェン(NASDAQ: PLUG)

パートナーシップの関係強化、プラグパワーの少数出資により、Q2までに航空機用パワートレインの建設を完了予定。2025年までにグリーン水素がジェット燃料とコスト競争力強化のためのグローバルなオフテイク関係にも合意。

▶21年2月、米国初のグリーン水素生産施設として、ニューヨーク科学技術先端製造公園に新しい最先端のグリーン水素製造施設と電気変電所を開発設置し、雇用を創出。

7. 今後の業績予想 

プラグ・パワーは、21年に4億7,500万ドル、22年に7億5,000万ドル、24年は売上目標を40%以上引き上げて17億ドルの年間総売上目標を発表しています。前期の4億ドルを超える損失(費用計上)は、大部分は「顧客の残りのワラントの権利確定を早めたことに関連する非現金費用」であると同社は声明で述べており、これらはアマゾンやウォルマートなどの顧客に燃料電池の一定数以上購入によるワラント(新株予約権)提供によるもので、結果としてアマゾンに数億ドルの利益をもたらし、プラグパワーの業績悪化となりました。プラグパワーは、10年以上に渡り株価が5ドル以下のペニーストック銘柄でしたが、これらのワラントの影響もあるのか、株価は2020年から徐々に上昇し、21年1月下旬には73.18ドルの最高値をつけました。

アマゾンのワラントの権利確定は一種のリベートであること、Form10-Kで10Kの過年度遡及修正もガバナンス欠如との市場評価もあり、経営体制の改善に注視する必要があります。また、コスト低減と収益性のバランスが依然不透明であり、投資回収が長引く可能性や水素エネルギーのデメリットの側面の解消が出来ていないことから、今後の同社への厳しい市場評価の行方が株価にも影響しそうです。

8. まとめ

Bloomberg New Energy Financeの報告によると、「今後数年間で水素経済は指数関数的に成長し、潜在的にエネルギー需要の最大24%を提供し、2050年までに年間収益が10.0兆ドルに達すると予想」、マッキンゼーによると「2030年までに、米国の水素経済70万個のジョブをサポートし、2050年までに2.5兆ドルにもなる可能性があります」と推定しています。

グリーン水素は、2050年までにカーボンニュートラル、環境社会において脱炭素社会の実現可能にするソリューションとして、必要不可欠なエネルギー需要です。クリーン・エネルギー政策の推進による水素インフラの本格的な普及やESG意識の高まりも追い風となり、プラグパワーの水素燃料電力の売上が右肩上がりに年々規模拡大、グローバルな戦略パートナーとの参入戦略も順調であるため、将来的に増益が見込まれそうです。

2013年以降から約3倍以上に株価が伸長し、着実な成長を遂げています。最終利益が赤字であり、株価は現在軟調な推移ですが、本格的な潜在需要を取り込む経済活動が活発化すれば、今後の株価上昇の期待大なインフラ銘柄です。

※1    2021年3月31日現在
※2 2021年7月2日時点
※3 2020年12月31日現在

https://www.ir.plugpower.com/Financial-Information/Quarterly-Results/
https://www.nasdaq.com/articles/plug-power-stock-plunged-for-the-wrong-reason-2021-03-01
https://jp.investing.com/equities/plug-power-company-profile
https://about.bnef.com/new-energy-outlook/
https://www.ir.plugpower.com/Press-Releases/Press-Release-Details/2021/Plug-Power-and-Brookfield-Renewable-Move-Forward-with-Green-Hydrogen-Plant-in-South-Central-Pennsylvania/

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